暁 〜小説投稿サイト〜
ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
感謝と謝罪
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「一発くらい殴らせなさいよ……」
一発。それだけで許すと。そう言っているのだ。
俺が自己中で、責任ある立場にも関わらずそれを投げた。どう見ても悪いのは俺だ。半年も音沙汰なかったんだ。交友関係のあった人に誰一人として連絡せず、心配させたのは全面的に俺が悪い。半年間連絡する暇もなかったなんてことはありえない。睡眠時間だろうが削ってでも連絡するのが筋ってものだ。しかし俺はそれをしなかった。何か連絡出来ない理由があったとか、もし仮にそうだったとしても。
謝罪をしよう。そう思った。
謝って許されることじゃない。でも一発殴られてそれで終わりじゃ俺の気が済まない。
悪いことをしたら謝る。基本的なことだけど、しっかり気持ちを伝えよう。口が痺れてようが態度で示そう。
だから俺は無言で頭を下げた。
これくらいじゃ気持ちは伝わらないかもしれない。土下座くらいした方がいいのかもしれない。だがその態度が自然だと思った。今から地面に頭をつけたら、嘘くさく見える。謝ろうと思って咄嗟に出た行動がそれなら気持ちはそれで伝わるはずだ。
「私も……謝らなくちゃいけない」
か細くて消えそうな声で、
「……本当はさ」
グッと襟首を捕まえられて、
「無事で……何事もなくて……、よかったって思ってる」
抱きしめられた。首から手を回されて、密着されて。麻痺して感覚なんてないが、熱い液体が首元に流れていることは感じられた。
俺もいつのまにか抱きしめていた。意識していないにも関わらず、手が勝手に動いて握りしめ返していた。俺が本当にこの世界の登場人物であるかのように、郷愁と、なんて言えばいいかわからない心の内側から湧き上がる感情とが俺を支配した。
俺は外で
この世界
(
ゲーム
)
を楽しんでいた
第三者
(
プレイヤー
)
だとか、そんなことは思わなかった。何故か俺はこの時確信したからだ。
俺はユウキで、ユウキは俺なのだと。
だから自然に言葉が続いた。
「ただいま。……ハルカ」
「おかえり。……ユウキ」
ああ。全くもって俺は油断していた。
大団円?ハッピーエンド?
そんなもん糞食らえだとばかりに、悪魔のトリガーは弾かれた。いやこの場合は幽霊のトリガーか。
「そんな、そんなの痺れちゃいますユウキさん? いきなり拘束プレイだなんて///」
俺の背中にいたはずの幽霊がどこにいったのか。
しびれごなを一緒に受けていたんじゃなかったのか。
そして、俺の腰元に回されている手はなんなのか
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