暁 〜小説投稿サイト〜
ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
感謝と謝罪
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くないでしゅ」
そうだ! 話をしよう。
「はなしおしお」
あの……まずは手を離してくれないとろくに喋れないんですが。
「いくわよ」
ちょちょちょステイステイステイ。
大きく振りかぶらないで。サウスポーで殴るなんて吾郎がなくぞ。
「アゲハント、しびれごな」
「フォン!」
あ……アゲハント。
かわえぇ……。劣化ガーメイルだなんだ言われても可愛い。大丈夫、可愛いは正義。俺はガチ環境でも使い続ける。例えウルガモスが立ち塞がろうとも。
なんて興奮してる場合じゃない。絶賛攻撃され中なのにホウエン地方ポケモンだからってちょっと。
「……かわいい」
無理だわ。可愛いわ。アゲハント可愛いわ。あげかわ。
「しびれりゅ」
鱗粉が降りそそぐ。目一杯引っ張られてバチンと頬に添えられた手が離されても何も感じなかったことから、順調に麻痺に犯されているようだ。
「あの……今更ほっぺた離されてもしびりぇて口がうまきゅ動きゃせにゃい」
「離さないとアタシまで痺れちゃうでしょ」
ごもっとも。
「まって! はにゃせばわかりゅ!」
「何言ってるかわかりませーん」
「こんにょ! しびりぇさせたのはそっち……」
そしてそこまで言って。
アゲハントばかりを見ていた視線を戻して、
俺は冗談半分だった俺の気持ちを恥じた。
思わず、黙った。
「アタシだってたくさん……たーっくさん話したいことあるよ。聞かなきゃいけないこともあるよ」
そう言う彼女の目には涙が溜まっていた。
「今まで半年も何処行ってたのとか。誰にも告げずに出るほどの理由ってなんなのとか。
私はもちろん、センリさん、ミツルくん、リラ、ヒガナ、ルチアさん、アスナ、フヨウ、お父さん、ミクリさん、ツツジさん、ナギさん、トウキさん、フウ、ラン、マユミさん、プリムさん、カゲツさん、ゲンジさん、ダイゴさん、ヒースさん、アザミさん、ダツラさん、ウコンさん、ハギ老人、ツワブキさん、エニシダさん、コゴミとかテッセンさんとかアダンさんとかジンダイさんとか、ヤツなら大丈夫だって言ってた人も含めて……みんな心配させてどの面下げて私に会えるのとか。
背中の子はなんなのとか。決闘の申し込みが耐えなくて実家のポストが壊れたよとか。色んなポケモンが訪ねてきたよとか。新しいタイプが見つかったよとか。ひみつきちの仕掛けを見破って制覇した人が現れたよとか」
一言一言に重みがあった。
「だから、一発で済ませてあげるって言ってるの」
改めて思えば、……迷惑をかけすぎだ。
「だから」
うん。
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