GGO編
九十三話 battle in ???
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「負けました」では格好がつかない。
『ちっ……ん?』
そんな事を考えていた時、リョウの耳が妙な音を捉えた。
そして同時に、背中に違和感が起きる。
――ゴウン……ゴウン――
背中の壁が……否。艦の主砲が……動いていた。と、それを理解した瞬間、リョウはあることを思い出した。同時に勝利へのアイデアが頭の中に閃く。穴だらけだが、もしもギャレットがこの事を知らないとしたら……?
そうこうしている内に、リョウの後ろで主砲が回頭を終え、更に三本の砲塔がそれぞれ大きく、中ほどに、浅く角度を取り始める。やはりこの動きは……
「迷ってらんねえ!」
直後、リョウは左足だけで何とかバランスを取って、艦橋の方へと飛んだ。後ろから、予測線が走る。やはり、ギャレットはこの事を知らない!
「jump!」
ドウッ!と足のブースターが火を噴いた。勢いと共にリョウは更に艦橋の、艦内部に続く扉の方へと吹っ飛び、弾をかわす。
「間に合えぇぇぇ!!」
転がるように扉の前にたどり着き、自慢の筋力で開ける。中に飛び込んで扉を閉める直前、ギャレットが此方に走って来るのが見えた。
扉を閉め、何となく叫ぶ。
「撃ェ!!」
直後――
ズドオォォォン!!!!!!!!!!
DEや、先程のマグナムなど非ではない文字通りの爆音が、リョウの耳に響いた。衝撃で、全身が震えた。
「ヒューッ!!」
笑いながら叫ぶ。
確認するまでもない。艦の主砲が、発射されたのだ。
原則として、戦艦の主砲が発射される際に甲板に居てはならない。発射時の衝撃波が、砲弾だけではなく、人間までも吹き飛ばしてしまうからだ。
ギャレットは、主砲のすぐ近くに居た。つまり……
「ま、次は気をつける事だな」
「はぁ……そうするよ……」
HPを残り一ドットにして、ステータス異常のせいで全身を動かせないテンガロンハットの男にXM29を向けながら、リョウはニヤリと笑って言った。まあ……あまり誉められた勝ち方ではないが、立派な勝利だ。
「良い勝負だったよ……次は負けないからね」
ニッと笑って言ったギャレットに、リョウも尚も笑いながら返す。
「再戦の時は、女呼ばわりすんなよ」
「ははっ。分かったよ」
ダンッと言う音と共に、試合はその幕を閉じた。
《コングラチュレーション》が表示される空を一瞥してから、艦橋を見上げ、リョウはニヤリと笑って呟く。
「援護サンキューな。戦艦の精霊さん」
差し込んだ陽光で艦橋の先端がキラリと光った気がした。
直後、リョウは光に包まれた。
リョウコウ
第三回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメント第二回戦突破
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