九十九 新たなる
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せながらも森の中を黙々と歩いていた。心を痛めつつも、死体は回収しなければならない。
子どもと言えども、この亡骸は忍びだ。死体から得られる情報は里にとって有益なものになる可能性が高い。よって彼らは三人の死体を医療班に引き渡さなければならなかった。
不意に、運んでいる包みが軽くなっている気がした。一人の男が死体のほうへ眼をやり、アッ、と声を上げる。
燃えている。
何の前触れもなく、突然発火した死体。三つの死体が音もなく、メラメラ燃えている様を男達は愕然と見つめた。
やがてハッと我に返った一人が慌てて火を消そうとするが、どうやっても消えない。術で水をかけようが、土や砂をかけようが、炎は勢いを衰えず、死体のみを包み込む。
炎上し、そうして、死体が三つ完全に燃え尽きてしまったところで、ふっと掻き消える。
亡骸だけを焼き尽くした炎は、まるで最初から死体など無かったかのように、包みの中身を消し去った。
呆然とする木ノ葉の忍び達の手に残ったのは、死体を包んでいた布。
ただ、それだけだった。
散りゆく桜の花弁がまるで火の粉のように舞っている。
何処から飛んできたのだろうか、と少年はその一枚を掴み取る。
何の抵抗もなく、ふわりと手中へ落ちてきた桃色の花弁を何ともなしに眺めていた彼は、背後で控える少年少女にちらりと視線を投げた。後ろで跪く彼らの姿に、軽く溜息を漏らす。
途端、大げさなほど肩をビクリと跳ねさせる三人に、少年は――ナルトは苦笑を口許に湛えた。
「……御手を煩わせてしまい、大変申し訳ありません…」
「もう過ぎた話だ―――君麻呂」
寸前まで死体として木ノ葉の忍び達に運ばれていた少年。
畏縮してこうべを垂れる君麻呂の顔を覗き込み、ナルトは改めて苦笑を零した。その涼しげな表情の裏では、微かに憔悴した風情が垣間見える。
片膝を立て大木の枝に座りながら、ナルトは眼下を俯瞰した。
運んでいた死体が消え、右往左往する木ノ葉の忍び達の様子を窺う。【燎原火】の術による火が消えているのを見て取って、ようやく彼は肩の荷が下りた。
一先ずだが、これでなんとかけりがついた。最良とは言い難いが、それでも最悪の事態は回避出来たであろう。
死、という結末を迎える事は無かったのだから。
発端は、君麻呂と多由也が企てた計画だった。
大蛇丸の命令により木ノ葉へ赴いた『音の五人衆』。
その目的は、うちはサスケを里抜けさせ、大蛇丸の許へ連れ出す事。だが実は、彼らの意図は大蛇丸の思惑とは別のところにあった。
即ち、大蛇丸の命令通りサスケを勧誘する反面、彼に犠牲になってもらおうと考えたのである。
大蛇丸から逃れ、自
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