九十九 新たなる
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う事実を自来也から聞き、ナルは心底安心した。
最近転生したばかり故、三年間猶予があると告げる自来也の前で、胸を撫で下ろす。
そんな彼女の様子を見て取って、自来也が次に声を掛けようとした時、突然聞き覚えのある声がした。
「ほんなら、今度は時間がたっぷりあるな」
自来也が腰掛ける窓枠にちょこん、と座り込んでいるのは、見覚えがあり過ぎる一匹の蛙。
「か、頭?」
自来也の師であり、二大仙蝦蟇の一人であるフカサク。
以前、中忍本試験でナルに【蛙組手】を教えた張本人が、ナルと自来也を穏やかな眼差しで見つめていた。
「ナルちゃん、この前は時間が無くて出来んかった仙術の修行でもしようか」
「えッ、教えてくれんの?」
期待で眼をキラキラ輝かすナルの前で、フカサクは胸を張ってみせた。あまりの展開に呆けていた自来也が慌てて反論しようとするものの、逆に言い包められる。
「ついでに自来也ちゃんも修行するけん」
「え、ちょ…っ、頭ァ?」
「安心せぇ。三年間丸ごとじゃないわい」
とんとん拍子に進む話に、自来也は頭を抱えた。せっかく師匠面出来ると思ったのに、この蛙の前ではナルと同じ弟子に成り下がってしまう。
おそらくナルに仙術を教える機会を虎視眈々と狙っていたであろうフカサクを、自来也は恨めしげに眺めた。
ナルの歓喜に満ち溢れた視線と、自来也の非難の視線を一心に浴びたフカサクは素知らぬ顔で不敵に笑ってみせた。
自来也の口調をわざと真似てみせる。
「退院したら覚悟しとけのォ―――二人とも」
木々が鬱蒼と生い茂る森。
鳥のさえずりや、川音がさらさらと聞こえてくる穏やかな場所の半面、其処は戦闘の爪痕を色濃く残していた。
雑然と伸びる大木の合間を、数人の男達が黙々と歩いていく。それぞれが何らかの包みを抱えているその額には、木ノ葉マークが施された額当てが鈍く光っていた。
ふと、一人の男が足元を滑らせる。その衝撃で包みから何かがぶらんと垂れ下がった。
人間の腕。それもまだ幼き子どもの手。
それは、『音の五人衆』と謳われた忍び達の亡骸だった。
命令により、広い森の中から死体を探し当てた木ノ葉の忍び達は、皆一様に沈痛な面持ちだった。
彼らが運んでいる死体は、敵と言えどもまだ幼い子ども。
一つは、土砂に埋もれ、窒息死した死体。
一つは、『終末の谷』の下流で浮かんでいた水死体。
一つは、首を掻っ切り、自害した死体。
残り二体の死体は見つからなかったが、戦った下忍達の証言によれば、同様にもう亡き者となっているらしい。
音の五人衆との交戦があった場所で、死体を次々と運び出していた木ノ葉の忍び達は、哀愁を漂わ
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