九十九 新たなる
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され、チッと舌打ちするシカマルに気づかないふりをして、我愛羅は彼女の顔を覗き込んだ。
「お前は毒霧の毒に少しやられたんだ。暫くは全身が痺れたようになるという話だ」
「そっか…我愛羅がオレを病院まで運んでくれたのか?」
「そうだ」
「ありがと、だってばよ?助かったってば」
満面の笑みで礼を言うナルに、我愛羅の無表情が僅かに崩れた。ほんの少しだけ口許が緩んでいる気がする。
それを目聡く目に留めたシカマルが眉を顰めるのと同時に、再びガラリと扉が大きく開く音がした。
「よっ!元気か、ナル」
「具合はどう〜?」
「な、ナルちゃん…だ、大丈夫…?」
「お前達、静かにしろ。何故なら此処は病院…、」
キバ・いのに続いて、ヒナタとシノ。その後ろからはカカシとイルカ、そして綱手という顔触れが揃っている。ちなみに、ネジは医師の判断で、ナル同様病室で安静にしているようだ。
見舞いに来たらしい彼らに驚いているナルの頭を、シカマルはぽんっと撫でた。
「…ほらな。お前は独りじゃないだろ?」
その言葉に、ナルは潤みそうになる瞳を慌てて隠す。アマル・サスケ・サクラを失った衝撃により、自分の忍道を忘れそうになっていた。
それを思い出させてくれたのは、他でもないシカマル、そして今この場にいる皆―――仲間なのだ。
落ち込んでどうする。自分は独りじゃない。仲間がいる。皆で力を合わせたら、出来ないことなんて何もない。
アマルだってサクラだって、サスケだって、連れ戻す事が出来るだろう。
真っ直ぐ自分の言葉は曲げない。サスケ達の事だって、諦めない。
だって自分には頼るべき仲間がいるのだから。
伏せていた顔をナルは上げる。その瞳の、澄んだ空の如き青はいつもの輝きを取り戻していた。
「おう…っ!」
薄暗い回廊。
左右に等間隔で並ぶ牢獄の柱。其処に捕らわれている囚人達を尻目に、男は包帯で覆われた口許に弧を描く。
込み上げてくる笑いに耐え切れず、彼は双眸をうっそりと細めた。
「フフ…。サスケくん、君は選ばれた人間よ…」
ちらりと背後に視線をやる。
サスケの後ろからついて来ている少女がビクリと全身を震わせた。
「だからこそ…、そんな君の頼みだからこそ、彼女は生かしておいてあげる…」
肩越しに振り返る男の横顔をサスケは苦々しげに睨んだ。以前とは違う容姿のこの人物が大蛇丸だと、彼はとっくに察していた。己に向けるねっとりとした視線が同じだったからだ。
サスケは流し目で後ろを見やる。自分を追って来た同班の少女の存在に、彼は内心舌打ちした。
(何故、来た…ッ)
事情を知っている我愛羅に見逃され、後から遅れて来たア
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