二十話:三者
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【昨晩起きたミッドチルダ臨海第8空港の火災現場からの情報です。現在、火は収まっていますが、煙は未だに立ち昇っている状態です。火災の原因は未だに不明ですが、現在、時空管理局の局員によって調査が行われています。また、防火システムが正常に作動していなかった可能性もあり、時空管理局は念入りに調査を行うと正式に発表しております。今回の事故においては空港最深部に取り残された50名の利用客が死亡するという被害が出ており、身元確認が急がれています】
テレビから流れてくるニュースを聞きながらはやてはベッドの上で表情を暗くする。
臨時ではあるものの指揮をとった以上は誰も死なせるつもりなどなかった。
だが、現実は非情だった。三人のSランク魔導士が居ようとも救えぬ者は救えなかった。
もっと早く出動できていれば全員を救えたかもしれない。
もっと強ければ絶望的な状況からヒーローのように助け出せたかもしれない。
そう思うと、情けなさと後悔が胸にへばりつき離れてくれなかった。
「私らは……小さいなぁ」
隣で同じように表情を暗くするフェイトとなのはにそう声をかける。
強くなったと思っていた。大人になり、できることも増えたと思っていた。
しかし、結局のところ自分達は一人の人間でしかなく、できることは限られていた。
それを二人も痛感しているのか深く、静かに頷き返してくる。
「……そうだね。手を伸ばしても届かないものがある」
「でも、諦めたくなんかないよ……。ううん、諦めたらダメ。犠牲を無駄にしないように」
手を伸ばしても救えなかった命がある。過ちを犯した故に救えなかった命がある。
後悔し始めれば一生経っても終わらないようなことばかりだ。
だが、それでも、ここで立ち止まるわけにはいかない。
それは今までの全てに対する裏切り行為なのだから。
彼女達は決して立ち止まることをしない。
「そう言えば、フェイトちゃんとなのはちゃんは例の人を見かけんかったん?」
「救出に参加してくれた民間の人だっけ? 私は被害の浅いところにいる人達を助けてたから」
「私も見てないよ。できるだけ他の救助の人が居ない場所に行くようにしていたから」
「そっか……見てないんやな」
「はやてちゃん?」
何か引っかかりがあるのか目を伏せて考える仕草を見せるはやて。
その様子を不思議に思い、なのはが声をかけるがはやての思考は止まらない。
例の人物、正義の味方は誰よりも火の手が激しい場所に居たらしい。
しかし、その場に居た局員は誰も火の中に飛び込む人間は見ていない。
つまり、その人物は誰よりも早く現場に着いた可能性が高い。
もしくは、利用客の誰かが件の人物であったかだ。
だが、そのような利用客は確認
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