二十話:三者
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その主たるはやては切嗣に話しかける。
「いやー、作戦通りとはいえ容赦ないなぁ、おとん。ヴィータが本気で驚いとったよ」
「そうだよ、マジでアリサとすずかごとやっちまうかと思った」
「ははは、そんなことは…………ないよ」
「なんや、今の間は? ちょっとアリサちゃんとすずかちゃんが身震いしたよ」
人質ごと相手を倒そうとしていたのかと察してちょっぴり引くはやてとヴィータ。
そんな二人に対して切嗣は冗談だと笑うが本心としてはやりかねない。
家族だけの味方になると決めた以上は家族を守るためならどんな汚いことすら許容する。
彼はそんな男だ。
「それよりもはやて」
「なんや、おとん?」
「立派になったね……父さんは嬉しいよ。写真を撮ろうか、100枚ぐらい」
「あかん、親バカモードが発動してもーた。ヴィータ、抑えとって」
「わかった」
若干涙を流しながら大人モードのはやてを見つめる切嗣。
そんな養父の姿にまたかといった表情をしながらはやてはヴィータに抑えさせる。
はやては飛び級などを活用して大学を卒業したこともあり、記念の写真が他の子どもよりも少ないのだ。
次は成人式まで晴れの舞台がないのかと気づいてしまった切嗣のへこみようは言葉では言い表せない程のものだったという。
そんな気の抜けたやり取りを行っているうちに正常化プログラムが広域拡散されてフィールドは解除されていた。
「博士からの撤退命令です。三人とも戻ってください」
「えー、これからだってのによぉー」
「ああ、ちょっと待ってくれ。その博士に伝言だ」
ウーノからの指令で帰っていこうとする三人を切嗣が呼び止める。
何事かと振り返る三人に切嗣は笑顔を伝言を伝える。
「鉛球で眉間の風通しを良くしたくないなら、やりすぎるなってね」
目が全く笑っていない笑顔に気圧されて三人は思わず頷いてしまう。
それに満足が行ったのか消えていく三人を見送る切嗣にシグナムが微妙そうな顔で話しかけてくる。
「もしや件の人物とはお知り合いなのですか?」
「まあ……腐れ縁ってやつかな。まだマシな方だけどね」
「マシ?」
「何でもないよ。さあ、アインスも帰ろう。ちょっと眩しいからね」
「ああ、そうだね」
一体何と比べてマシなのかという疑問を躱して切嗣はログアウトをする。
やはり、どう足掻いても悪という存在なしに正義は成り立たないのかと、遠い昔を思い出しながら。
〜おわり〜
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