二十話:三者
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、忠誠の刷り込みでもしておくべきだったか」
「まあ、元より空港の破壊は想定の範囲内。死者が出たことで脅しも効きやすくなった。何も焦ることはない」
「ならばよかろう。変わることなく、計画は進行中よ」
彼らはかつて目の前の誰かが泣いているのを見て武器を手に取った。
苦しんでいる人を一人でも救う為に戦争だらけの世界を平定して見せた。
その代償として、彼らは人の心を失ってしまった。残ったのは正義の心だけ。
機械的に、数の上でしか人を見られなくなった正義の味方の成れの果て。
「それよりも、ボディの件はどうなったのだ?」
「朽ちぬ体は、戦闘機人の方のデータが多くならなければ簡単には実行に移せん。もっとも、元の体のクローンへの移植であれば難しくはない」
「私としてはそちらの方が好みなのだがね。仕方がないとはいえ、外付けの力を使うのは優雅ではない」
「まあ、お主ほどの力量があればそれで十分であろうな」
生き長らえるために脳髄だけの姿となった。
しかし当然のことながらそれでは何もできない。
かつての英雄であっても体がなければどうしようもない。
故に彼らは新しい体を求める。永久に朽ちることのない機械の肉体を。
そして、平和への道のりを再びその足で歩み始めようとしているのだ。
戦闘機人計画とは戦力不足を補うためだけではなくこのような目的もあるのだ。
「あの頃は力がなければ誰も我らの言葉を聞きはしなかった」
「とは言うても、お主は魔法工学が専門で戦いはからっきしではないか」
「何を言う。ミッドチルダ式の魔法を大成させ、非殺傷の技術を生み出したのはどこの誰かを忘れたか? それにアルハザードの技術を読み解きスカリエッティを生み出したのも私だ」
「私達はそれぞれがそれぞれの役割を果たした。いがみ合うのは間違いだろう」
からかう様に一人が声をかけると言い合いが始まってしまうがそれをもう一人が止める。
肉体があったころからこのような光景がよくみられていたのだ。
仲が良いのか悪いのか分からないとよく言われていた三人である。
「なに、冗談じゃよ。あの頃と変わらず儂らは共に平和の為に正義を為すだけ」
「ふむ、それに異論はない」
「真の意味で争いなどない平和な世界。その為ならば少々の犠牲もいとわない」
「ああ、それが正義というものだ。最終的に多くの者が救われるのならそれでよい」
彼らはもはや思い出せない。若かりし頃に願った世界の本当の形を。
誰よりも優しかったはずの彼らが夢見た本当の意味での平和な世界を。
正義という怪物になり果てた三人の男は思い出すことができない。
おまけ〜イノセントに切嗣が居たら〜
なのは達がユーリ考案のBDのステージを楽しんでいる
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