二十話:三者
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金が回されず、市民もそれほど期待もしていないのだ。
それでも、当然のように事件が起これば非難される。
これではレジアスでなくとも文句の一つも言いたくなるだろう。
「それでな……もしも、やけど。私が自分の部隊を作れたら、なのはちゃんとフェイトちゃんも来てくれん? 勿論無理にやなくてええんやけど……」
はやてが隊長となり部隊を指揮して運営を行う。
フェイトが執務官としての手腕を生かし舞台として一つの事件を追う。
そして、なのはが新人達の指導を行いながら戦闘では最前線で戦う。
誰が見ても最強の布陣である。
これだけの魔導士を揃えれば奇跡の一つや二つは起こせそうだと錯覚してしまう。
だが、この三人が揃っても救えぬ者もいると、昨晩思い知らされた。
それを思うと自然と言葉の最後の方が尻すぼみになってしまう。
そんなはやての様子に眉をひそめるのが二人の親友である。
「水臭いよ、はやてちゃん。小学三年生からの付き合いじゃない」
「うん。寧ろそんな面白そうな部隊に誘ってくれないなら嫌いになっちゃうよ」
「二人とも……おおきに、ありがとうなぁ」
悪戯気に笑いながら返してくる二人に思わず目尻に涙が溜まるはやて。
しかし、すぐに笑顔を作り最高級の感謝の気持ちを伝える。
少女達は新たな指標を見つけて歩き始める。
“正義の味方”と再び運命が交わるのは、まだもう少し後のことである。
暗い、暗い、部屋。外部からの一切の交流を捨て去ったかのような場所。
そこに脳髄になり果ててまで世界を平和にしようと足掻き続けるかつての“英雄達”が居た。
今より150年前に争いが絶えることなく、滅んでいくだけだった次元世界を纏め上げた者達。
その時の彼らを人はできるはずがないと罵った。
何の後ろ盾もない、力も持っていない若造に何ができるのだと。
しかし、三人の若者は不可能を可能にし、世界を変えてみせた。
嘘偽りのない、本物の英雄。彼らの背中に人々は理想の世界を夢見た。
そして、その意思を継承しようと時空管理局を立ち上げた。
ここまでやれば、後は後継者に任せて彼らは眠ればよかった。
だが、彼らの願いは美しく―――正し過ぎた。
人間では決して叶えることなどできない願いだった。
だとしても、彼らに諦めるという選択肢は存在しなかった。
なまじ世界を変えてしまったがために不可能を認めることができなかった。
だからこそ、彼らは無理矢理に寿命を延ばしてでも理想を追い求めた。
世界の永遠の平和を、悪の根絶を、追い求め続ける。
例え、その身を悪に染め上げようとも。
「スカリエッティめがまた粗相をしたようだのう」
「あれには欲望の刷り込みではなく
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