マブラヴ
1237話
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「各世界の繁栄を祈って……乾杯!」
『乾杯!』
俺の言葉と共に、宴会場にいた全員が声を合わせる。
こういう音頭を取るのは別に俺じゃなくてもいいと思うんだけどな。ここはホワイトスターじゃなく、マブラヴ世界なんだし。
だとすれば、崇継辺りが乾杯の音頭を取るのがベストだと思う。
そんな風に考えながら、自分の席に戻る。
俺の前にあるのは、一人用の小さめな鍋。
猪の肉を使ったぼたん鍋だ。
勿論この程度の量で足りる筈がないので、宿の方には最初から食事は多く作るように要望してあり、その分の料金もきちんと払っている。
鍋の蓋を開けると、味噌の匂いが周囲に広がった。
あー……いい匂いだ。
味噌仕立ての鍋に箸を伸ばし、早速猪の肉を取って口へと運ぶ。
豚に似ているが、野生の肉らしく臭みが残っている。
だが、それが刺激となって食欲を掻き立てるのもまた事実。
鍋の野菜には、猪の肉から出た脂と味噌仕立ての出し汁がたっぷりと吸い込まれており、白菜や大根、ほうれん草が幾らでも食べられる。
「美味しいわね、これ」
「ああ。……美味い」
俺の隣で食べているレモンに、そう言葉を返す。
ぼたん鍋をそのまま一気に食べ終わり、早速仲居にお代わりを持ってくるように頼んだところで、ようやく周囲を見回す余裕が出て来た。
こうして見る限りでは、多くの者がこの宴会を楽しんでいる。
出身世界に関係なくそれぞれが話をしている光景は、シャドウミラーと関係する世界特有のものだろう。
「お嬢さん、この鍋は凄く美味しいですね」
「うん? そうだな。確かにこの味は中々出せるものではない」
「良かったら、今度一緒にお食事でもどうでしょう? この鍋程ではなくても、美味しいお店があるのですが。ホワイトスターの交流区画の中でも、隠れた名店と言ってもいい店で……」
「すまない、私達の世界ではホワイトスターに自由に行き来は出来ないのだ」
「ああ、失礼。マブラヴ世界の人でしたか。では、良ければ今度美味しいお店でも案内して貰えると助かりま……う゛ぇっ!」
「ミーシェールー! お前は、すぐにまた女にちょっかいを出して!」
食事をしながら月詠を口説いていたミハエルだったが、クランの放つ一撃によりそのま沈む。
……昼間もそうだったが、ここぞとばかりにミハエルがはっちゃけてるな。
それを止める役目のクランもかなり張り切ってるが。
にしても、よく月詠を口説く気になったものだ。
確かに月詠は美人と言ってもいい。
だがプライドが高く、気が強いというのは見て分かる筈なんだが。
その本性が発揮される前にクランの一撃が入ったんだけど。
そもそも今の月詠を見る限りだと、本人が口説かれたとは思っていないように見える。
恐らく
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