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逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 6
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誰かから教わった覚えも、知りたくて関連情報を掻き集めた記憶も無いのに、いつの間にか理解していたなんて。なかなか不気味よねぇ」
『不気味とまでは思わんが。おそらく、察知能力や情報処理能力や推理力、といった物の類いなのだろうな』
「人間の僕も、たまに「あれ?」って思う時あるよ。でも、それって……」
「『?』」

 珍しく難しい顔をしたカールが うーん と唸る。

「今の話が事実だとしたら、一度体を失った魂でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()で別の生物の体に宿れば、また新しい体を作れたりするよね?」
『無い。とは、言い切れないな。種子となる集合体が、その時点でどれだけ消耗しているかにもよると思うが』
「だったら、体を失う前の記憶……気流の記録? が、新しい体に残ってる可能性もあるんじゃない? もちろん、全部じゃなくて部分的に」
『気付いた時には知っていた私のこの知識や理解が、私以前の誰かによって蓄積された魂の記録ではないかと、そう言いたいのか?』
「うん。こういうのって知識だけじゃなくて、一度も行ったことはない筈の場所なのに見覚えがあるとか、初めて聴いた筈の歌なのに懐かしいとかも、たまーに感じたりするでしょ? だから君の話を聴いて、ひょっとしたらと思ったんだけど。考え方が強引すぎるかな?」

 木漏れ日を映す金色の頭が、こてんと傾いた。

『ありえなくはないが……物質は、集合体を形成する段階で変質するんだ。当然、生命力が強い個に引きずられる形でな。生前の密度と割合を重視してさもあろうと仮定しても、新しい成長の最中で培う記憶に書き換えられると考えるのが自然だろう。それも、かなり早めに。いつかは命も尽きる物質の記録領域が無尽蔵にあるとは思えん』

 手入れのつもりか、片翼を持ち上げて内羽根を突き出したアオイデーに、カールはちょっと残念そうな表情で「そっかあ」と呟く。

「なにあんた、誰かの記憶が自分に残ってたら良いのにとか思、ったのね」
「うん。僕だけじゃなくって、この世界に生まれた生物、皆にね。それならメレテーさんとアオイデーさんもいろんな人達も、生死を超えて、すべてに繋がってる気がするでしょ? 誰も寂しくならないかなーって」

 カールがこんな風に考えるのは、短命な人間だからこそなのかしら?

 私は嫌よ。自分以外の誰かの記憶が、自分の中にあるなんて。
 未練がましくて鬱陶しいし、見張られてるみたいで気持ち悪いじゃない。
 潔く消えてくれたほうがス
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