暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 6
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
反発での大きな欠損が無いから? 密度と方向性の純度に関係してるのかしら。
 「んぬー……君自身も見えてないっぽいのに、どうしてそんなに詳しいの? 神様だから?」
 『さぁな。神々が一様に理解しているのかと尋かれればそれは違うらしいが、ならば何故私が詳しいのかと問われても困る。気付けば既に知っていたし、実際にそう感じるから……としか答えようがない』
 いちいち体の向きを変えるのが面倒になったのか、今度は顔だけでカールに振り返るアオイデー。
 「あら。神にもあるのね、そういう感覚。私もたまにあるわよ? なんでか解らないけど知ってるってヤツ。教わった覚えも知りたくて掻き集めた記憶も無いのに、いつの間にか理解してるなんて……なかなか不気味よねぇ」
 『不気味とは思わんが……まぁ多分、察知能力や情報処理能力の類いなのだろうな』
 「僕もたまに あれ? って思う時あるよ。でも、それって……」
 「『?』」
 珍しく難しい顔をしたカールが うーん と唸る。
 「……一度体を失った魂が「ある程度固まったまま、ほんの少しだけ新しい物質を取り込んだ状態」で生物に宿っても、また新しい体を作れたりするよね?」
 『無い。とは、言い切れないな。元の集合体がその時点でどれだけ消耗しているかにも関わると思うが』
 「なら、体を失う前の記憶……記録? が、新しい体に残ってる可能性もあるんじゃない? 勿論、全部じゃなくて部分的に」
 『この理解……知識が、私以前の誰かによって蓄積された魂の記録ではないかと、そう言いたいのか?』
 「うん。こういうのって知識だけじゃなくて、一度も来てない場所なのに見覚えがあるとか、初めて耳にする歌なのに懐かしいとかも、たまーに感じたりするでしょ? だから君の話を聞いて、ひょっとしたらと思ったんだけど。強引かな?」
 『……ありえなくはないが……物質は、集合体の形成段階で変質するんだ。当然、生命力が強い個に引き摺られる形でな。生前の密度と割合を重視して然もあろうと仮定しても、新しい成長で培う記憶に書き換えられると考えるのが自然だろう。それもかなり早めに。いつかは命尽きる物質の記録領域が無尽蔵とは思えん』
 体毛の手入れのつもりか、片方の翼を軽く持ち上げて内側を突き出したアオイデーに、カールはちょっと残念そうな表情で「そっかぁ」と呟いた。
 「なに、あんた。誰かの記憶が自分に残ってたら良いのにとか思……ったのね」
 「うん。僕だけじゃなくて、皆にね。それならメレテーさんとアオイデーさんもいろんな人達も、生死を超えて総てに繋がってる気がするでしょ? 誰も寂しくならないかなって」
 カールがこんな風に考えるのは、短命な人間だからこそなのかしら?
 私は嫌よ。自分以外の誰かの記憶が自分の中に在るなんて、気持ち悪いだけじゃない。潔く消
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ