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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
ヒルゼン
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 ジャシン――もしくは、死神が。ヒルゼンとの契約を受けて地上に舞い降り、その真の姿を見せたのである。ある意味で死神、つまりジャシンも大蛇丸と同じで、他者の体を乗っ取り移りすむ存在だったのだ。
 死神が見えるのは術を用いて死神と契約したヒルゼンと、ヒルゼンの前にジャシンと契約をしていた大蛇丸のみだ。彼の使わんとする術がなんなのかを知った大蛇丸が顔をゆがめる。
 
「木ノ葉の里はわしの住む家じゃ! 火影とは、その大黒柱として、家を守り続ける存在! それは、木ノ葉の全ての意志を受け継ぎしもの。簡単には歪まんぞ!!」

 木ノ葉の里で毎年生まれる沢山の忍びが。ここで生き、育ち、そして里のために死んでいく。

「そんな里の者達を……、例え血のつながりはなくとも――わしにとって、大切な――」

 走馬灯とも言うべきか。脳内に里の者たちの姿が一つ一つ映し出されていく。
 千手柱間。千手扉間。うたたねコハル。水戸門ホムラ。志村ダンゾウ。うちはカガミ。秋道トリフ。
 大蛇丸。自来也。綱手。みたらしアンコ。波風ミナト。シズネ。はたけカカシ。のはらリン。うちはオビト。
 うみのイルカ。夕日紅。マイト・ガイ。シソ・ハッカ。森乃イビキ。エビス。
 うちはサスケ。うずまきナルト。春野サクラ。
 奈良シカマル。秋道チョウジ。山中いの。
 油女シノ。犬塚キバ。日向ヒナタ。
 日向ネジ。ロック・リー。テンテン。
 一文字はじめ。いとめユヅル。狐者異マナ。
 
「大切な――!」

 そして、猿飛アスマと。
 猿飛、ユナトと。
 猿飛木ノ葉丸と。

「家族じゃ!!」

 それ以外にもたくさん、たくさんの顔。
 今は亡き者。
 今も木ノ葉を守り続けている者。
 子供の名付け親になってほしいと尋ねてきた女とその子や。
 辛い思いをさせて、そして結局救えなかったうちはや狐者異や。

 たくさん、たくさん、たくさん、たくさんの。数え切れないくらいに多くの人の顔が。浮かんで、消えて、また、浮かんで。

 里の為に自ら命を捨て死んでいった者や。
 里の為に仲間を屠ることを選ばざるを得なかった者や。
 里に刃を向けることになってしまった者や。

「例えわしを殺したとしても、その柱は折れはせぬ!!」

 救えずにひどく後悔したことは、たくさんある。
 悲しく辛く想い、涙を流した死も、たくさんある。
 身を切るような犠牲も、たくさん、たくさん、ある。

 でもそれでも。

「初代さま……二代目さまの木ノ葉の意志を受け継いだ!」

 誰かの笑顔を見て喜んだことも。
 嬉しさに涙のでるような生も。
 助け合って生きていける幸せも。

 後悔や、死や、犠牲よりも多くの喜びが、愛が、幸せが、ここにはあるから。
 
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