マブラヴ
1235話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
念そうな視線を向けられ、軽く霞の頭に手を置く。
「一緒には乗れないけど、その代わりソリを持って高い場所まで行ってやるよ」
「本当ですか?」
「ああ。……よっと。2人共、落ちないようにしっかりとソリに乗るんだ」
霞と麗華が不思議そうにしながらもソリに乗り込んだのを確認し、そのソリをそっと持ち上げる。
そのまま混沌精霊としての力で浮き上がり、それなりに高い場所まで飛んでいく。
何だか地上で星刻が騒いでいる声が聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。……うん。
今こうして見ると、こっちに向かって坂を駆け上ってきているが、きっとそれも見間違いだ。
にしても、幻の割りには雪の坂を駆け上がってくる速度が速いよな。
「……びっくりしました」
「うん、びっくりした」
そんな風に驚いている2人だったが、俺が掴んでいたソリから手を離せば、当然ソリは坂道を下っていく。
いきなりの行動だった為だろう。霞はウサギの耳をピョコピョコさせて驚きながら、麗華はキャーキャー嬉しそうな叫び声を上げながら滑る。
空を飛んで移動したといっても、そんなに上まで上がった訳ではないのでソリはすぐに下へと到着する。
ワーワー、キャーキャー言っている霞と麗華を、まだ下にいる者達が笑みを浮かべて見守っていた。
勿論その笑みは嘲笑とか馬鹿にしたような笑みではなく、微笑ましいものでも見るような笑みだ。
そんな笑みを向けられているのだが、霞と麗華の2人は興奮しているのか全く気が付いた様子がない。
ソリが止まると、すぐに降りてこちらへと手を振ってくる。
それを見て、俺もスキーで下へと向かって下りて行く。
滑る距離は殆どないが、それでも数年……いや、主観時間では10年ぶり以上のスキーだ。この程度の距離が身体に慣らすという意味でも丁度いい。
そうしてゆっくりと滑りながら下へと下りて行くと、俺に向かって一直線に進んでくる人影があった。
長い黒髪をたなびかせ、美形と表現してもおかしくない顔を俺の方へと向けているのは……
「この状況でやって来るのがレモン達ならともかく、お前じゃな」
その人物へと視線を向け、思わず溜息を吐く。
それを見た星刻は、素早く俺へと向かって手を振る。
まだ数mの距離があるのに、どうしたんだ? そう思ったが、服の袖から何かが伸びてきたのを見て、反射的に受け止めると……そこにあったのは、ロープ。ただし先端にはゴムの塊――といっても指先程度の大きさ――がついている。
一応相手を殺さないようにという配慮なんだろうが、ゴムの塊って何気に重いし、十分武器になるんだが。
「いきなり何をする?」
ゴムを手放すと、ロープに結ばれたゴムの塊が素早く星刻の懐に戻っていく。
そうして俺の方へと向
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ