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王道を走れば:幻想にて
第四章、序の2:誓約 ※グロ注意
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慣れているだろうし、それがどれ程大切かという問題についても理解もある。だからもし俺の補佐に回ってくれるなら、手に入って来る情報の解析や伝達を手伝ってもらいたいんだ。
 ・・・それに後は、一緒に身の回りを整えたりとかさ。俺、騎士の割に自分の生活に無頓着だがから」
「・・・・・・ふーん、そうなのか」

 キーラは生返事でそう返して再び考え込んだ。慧卓にとっては胃に重みが掛かる静謐が生まれ、ただ只管に返事を待つ以外に出来る事が無くなった。一分かそこいらを考えている内にキーラは何か思い付いたのか、その表情をはっとさせて、次の瞬間には冷ややかな雪庇のように冷たいものとさせた。そしてその表情に似合うような冷静な声で、表情の変化に動揺している慧卓に向かって言う。

「・・・一個だけ、約束をいい?」
「・・・なんだ?」
「・・・もし、無事に職務を成し遂げて、王都へ帰還出来た暁には・・・」

 一拍の間を空けて、キーラは言い放った。

「王国の騎士ケイタク=ミジョーとして、ブランチャード家の一人娘との婚約を考えてくれる?」
「・・・え・・・」

 思いもよらぬ言葉に、慧卓の脳裏は一時の間、凍結するかのように思考を止めた。キーラの言葉を理解した時、溶岩のように思考の波が流れていくが、一方で身体の熱が高まる事は無かった。己に対する婚約の告白を届けた彼女の表情が、その優しみのある顔立ちとは対照的な、冷徹な貴族の顔を浮かべていたからだ。

「・・・冗談の心算でも無いよ。これは貴方にとって凄く大事な話なんだから。・・・ケイタクさんが請け負った御仕事、ケイタクさんは必ず成し遂げるって私は信じている。でもその後で王都に帰ってきた時には、きっと今まで以上に謀略や策謀に巻き込まれると思う。私には分かる。
 有能で、若さに溢れ、だけど身寄りが無い唯の騎士。それが未来の貴方。謀略や陰謀に巻き込まれるのは当然だと思わない?派閥への参加、間諜による誘惑、それに政略結婚。貴方に秘めた価値を狙って、皆食指を伸ばしてくるよ。たった一人で、それらをかわせられる?」

 貴族の令嬢だけあって、説得力はかなりのものであった。慧卓は胸をどきっと鳴らして言う。

「・・・お、俺だけじゃ無理かもしれないけど、皆と一緒ならーーー」
「貴方を真っ直ぐに庇ってくれる人は居ないわ。クマミ様と仲が良いとは聞いているけど、あの人はもう騎士団長。たった一人の騎士を庇うよりかは、己の騎士団を謀略から守る方を優先する筈。他の人だって・・・コーデリア様だって、同じよ。誰だって貴族達を敵に回すような事はしたくない。宮廷から、王都から居られなくなっちゃうもの。・・・貴方には、後ろ盾が無いの。
 ・・・でも私なら、その盾を掲げる事が出来る。私の家なら、貴方を庇える。だから、私を利用して。ブランチャ
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