第四章、序の2:誓約 ※グロ注意
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を職務へ同行させていいのかっていう感じのもので・・・。拡大的に解釈するなら補佐役も副官と同等に近い役割を担っているんだから、ある程度の融通は利くだろうって感じで教えて戴いたんでしょ?」
「・・・す、凄いな、何でそんなの知ってるんだ?」
「勉強してたから、少しは知っているよ」
小さく誇らしげに笑みを見せるキーラに、慧卓は一人納得した。確かにこの本棚から見る限り、広範な知識を学んでいるのは確実そうである。
「続きなんだけどさ、その任務、俺一人じゃ如何にも出来ない。だから男爵にお願いに来たんだ。キーラが欲しいって」
「・・・欲しい・・・」
「えっ?あ、言葉に別に他意は無いぞ?ただキーラが来てくれるなら、俺の任務は結構楽になると思ったからで・・・」
「・・・其処はもう少し匂わせてくれてもいいと思うんだけど?」
「こ、今度からそうする・・・それで、そのだ、キーラ。もしよければの話なんだけどさ・・・俺と一緒に北嶺へ来てくれるかな?も、勿論無理にとは言わないさ!ただ来てくれれば嬉しいなぁって・・・」
勧誘の言葉が尻すぼみとなってしまう。同僚や友人達を誘うのとは訳が違って、キーラは何の関係の無い帰属の令嬢である。更に父君を怒らせてしまった経緯を経て尚頼むのは、如何にもおこがましいと自認していたからだ。
キーラは視線を床に遣って逡巡しながら、慧卓の横に座って話し掛ける。
「いきなりで、一体如何返事をしたら良いのか分からないんだけどね・・・取り合えずだよ・・・私以外にも誰か来るの?」
「仕事上一緒に来なきゃ行けないのはアリッサさん。それに北嶺の途中まではキーラのお父様が一緒だ。あの人は北嶺監察官の任を受けてクウィス男爵の領内に留まって、俺達と王国中枢との間を取り持つ役目を負うんだ。中間管理、みたいな感じかな?」
「・・・お父様の方、もっと分かりやすく言ってくれる?」
「えっとだ・・・俺達現場の意見を上方に通り易いようにしてくれたり、或いは逆に上方の要求を俺達に伝えたりしてくれる。そういう御役目さ」
キーラは床から視線を外して慧卓を見詰めた。付け加えて言う。
「他に誘った人も結構居るんだけど・・・色の良い返事はまだ返って来ない。今日中じゃ多分来ないと思うな。後は、建物の入り口の前に居る二人だけ。彼らは同行するのが確定している」
「・・・入り口の二人はデキていそう・・・今の所、ライバルはアリッサさんだけ・・・」
「へ?」
「い、いやっ、何でもないよっ?」
宙を泳ぐ蝿のように小さな声であったため、幸か不幸か慧卓にはそれが届かなかった。頸を一つ捻ってから、慧卓はゆっくりとした口調で言葉を掛けていく。
「それでだ、思ったんだけど、キーラってかなりの勉強家なんだろ?当然色んな書籍から沢山の情報を汲み取るのに
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