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王道を走れば:幻想にて
第四章、序の1:勧誘
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たら扉の外の兵士に言って下さい」
「待て、質問がある。俺の他に誰を誘った?」
「んーっと、兵士の友人二人に騎士が二人、侍女が一人。さっきの雀斑の兵士が友人の一人です。後、今日中に貴族の方にも遭いに行って誘ってみる予定です」
「そうか・・・最後に一つ。何故パウリナも誘った?」
「悪口言うけどおっちょこちょいな女性でしょ?最高に可愛いじゃないですか!!」
「出てけ、馬鹿者」

 慧卓はからからと笑みを湛えながら、部屋を軽い足取りで出ていった。残されたユミルは消えて行った彼の姿に、俄かな羨望を抱いていた。

「持つべきは友人か・・・奴には困らなさそうな話だな」
「・・・それぇ、無理ぃ・・・」
「俺の友人は如何にも、一癖二癖ある奴ばかりだな、本当に」
「・・・・・・げっぷ・・・うげぇ・・・」
「・・・はぁ、完全に断れなくなるな」

 腹から何かが込み上げて来そうな不穏な喉の音に、ユミルは頭痛のようなものを覚えて眉間を押さえた。そして水が残っているグラスを机の上に乗せて、急ぎ足で部屋の外で待機している兵士へと向かっていった。



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 場所は変わって王都中央部に堂々と、絢爛と建立している宮廷。かんかんと晴れた日光を浴びて、眩いばかりの光沢を全身から放っている。地に腹を乗せる街並みを見下ろす一室、即ち執政長官の陰険な部屋の前に慧卓は立っていた。久方ぶりに一対一で話すかと思うと、やけに胸の鼓動が煩く感じる。根が温厚そうなのは理解出来ているが、それでも緊張する相手であった。 
 立っているだけでは始まらぬと、慧卓は鼓舞するようにすっと息を吐いて、重い戸をとんとんと叩いた。

「騎士ケイタク=ミジョー、入ります」
「入れ」

 戸を押し開いて慧卓は中に入る。中は夏場の真っ最中だというのに想像以上に暗い。不健康にも厚手のカーテンで窓を隠しているようである。密閉空間であるのにまるでクーラーのように冷気が効いているのに慧卓は驚き、そして中にレイモンドだけではない、もう一人の人物が居た事に驚く。 

「失礼します・・・っ!」
「此方があの?」
「・・・そうだ、異界から顕現した件の若人だ」

 億劫げに言い放ったレイモンドから視線を背け、机の前に立っていた老人は慧卓を見詰める。黄土色の瞳に人を食ったような尖った目付きと顔立ちは、まるで都会の鳩を髣髴とさせる。穢れを纏う事を躊躇わなさそうな灰色のロープを着ていれば、尚更鳩の格好を思い起こすというもの。年老いた顔の皺を興味深そうに伸ばして、その老人は話し掛けてきた。

「会えて光栄だ。王国高等魔術学院の学院長を勤めておる、マティウス=コープスだ」
「あっ、御初にお目に掛かります、御条慧卓です!御条が苗字で、慧卓が名
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