第十話
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に、ここにいる皆が驚く。
「あ……何よいきなり。でもようやく」
「お前だけじゃない!同じなんだ!みんな同じなんだ!!」
小室も何ともいえない表情で高城に叫ぶ。
「親が無事だと分かっているだけ、お前はマシだ……マシなんだ」
小室はそう呟く。
ここにいる誰もが知り合いの安否を気にしている。携帯を使うにも、使用者が多い為に繋がらないのだ。
特に、地元に両親がいる小室と宮本も心情は、より複雑なはずだ。早く両親の安全を確認したいと思っているはずだ。俺は両親が他県にいるため、ある程度は割り切る事にしている。俺も一応は、この世界で世話してくれた両親に恩義があるため、連絡を入れたが、携帯はつながらなかった。
平野と毒島の両親は海外に出張。鞠川先生の両親は既に他界している。俺も含めて連絡手段がないため、ある程度は区切りをつけているが、小室達は違う。
歩いて直ぐにでも実家にたどり着けるのに<奴ら>がいるせいで、それも実行に移せない。近いのに道のりが遠いという事もあり、小室と宮本の心情も焦りでいっぱいだろう。
「……わかったわ。わかったから離して」
「悪かった」
小室も高城から手を放す。高城も普段の表情を取り戻した。高飛車で高圧的だが、冷静に状態を分析する知力派の高城がもとに戻った。
「ええ、本当にね。でもいいわ。さ、本題に入らないと。アタシ達は……」
ようやく本題に入ろうとした時だ。
外から車の音が聞こえてくる。先頭にセダンタイプの車に、必要な物資を積んでいると思われるトラックと、燃料を搭載しているタンクローリーに、護衛と思われる左右にバイクが配置されている。そして一台の車の所に出迎えるように、右翼団体の隊員さん達が整列していた。そこには、高城の母親もドレスを着て出迎えだ。
それより。高城のお袋さん。あれで本当に高校生の娘を持った母親なのかと思うくらいに、若い美女だ。
まあ、そんな事は置いとく。小室や高城からも聞いたが、高城の家が右翼団体の本部みたいなのだから、これから出迎える人間も、想像しやすいな。
「あれは?」
「そう。この県の国粋右翼の首領!正邪の割合を自分だけで決めてきた男!」
そしてついに車から出てきて正体を現す。高城の父は、右翼の首領というよりは生粋の旧日本帝国軍人……いや、どちらかと言えば武人といった空気を身に纏っている。
あれだけの肝っ玉が座った右翼の隊員を率いるだけはあると、納得してしまうようなオーラを感じる。
「アタシのパパ!!」
ーーー。
高城の親父さんが屋敷に戻って初めにやった事は、屋敷に避難してきた人々に対する警告だ。フォークリフトに乗っけられている檻の中に<奴ら>となった憂国一心会のメンバーと思われる
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