大嫌いだと、彼女は言った
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―――――妖精の尻尾の中で、恋愛といえば?
こんな質問を投げかけられたとして、あなたはどう答えるだろうか。
きっと、いくつか答えの候補くらいはあるだろう。何せ、色恋沙汰からは遠くかけ離れているようなメンバーもかなり多いギルドである。恋よりも仕事、と答える魔導士も少なくはない。
さて、そんな環境、そんな候補さえ絞られる中で、あなたが答えとして用意したものは?
……いやいや、彼のあれは恋愛じゃあない。
飽くまでも、飽くまでもあれは家族愛だ。本人だってその線引きは出来ている。いつかその線を消しそうな気もしなくはないのが恐ろしいところだが。
という訳で、この回答として“クロス=T=カトレーンのティア=T=カトレーンへの愛情”と用意するのは、彼の頭から「姉は恋愛対象にはなり得ない」という常識がすっぽり抜けてからにして頂きたい。
……気を取り直して。
例えば、真っ先に屈託のない笑顔を思い浮かべた人もいるだろう。
子犬のような愛らしさと、時折覗かせる妖しささえ覚える年相応の微笑み。つい最近加入したばかりの星霊魔導士にぎゅっとくっつく姿は何も珍しいものではない。どこかの噂では既に父親公認らしいとかそうでないとか、曖昧ではあるもののそんな話すら聞く。
彼と同じ“片思い”というジャンルなら、忘れてはいけないのがギルドきっての苦労人たる彼だ。
ギルド最強の女問題児に出会って7年、恋し続けて7年目。アプローチの1つにすら、今から告白しますと言わんばかりの覚悟を必要とする奥手の中の奥手ともいうべきライアー・ヘルハウンド。真正面から向き合うだけで会話すらままならなくなる彼が告白するのは、はてさていつになる事やら。
中には、共通の名前で呼ばれながらも複数の姿を持つ彼に行きついた人もいるはずだ。
相棒たる少女からヴィーテルシアの名を貰った彼は……うぅん、微妙なところではあるが、あの愛情を本人は恋慕ではないと否定するだろう。感謝と尊敬と、家族愛を真似たようなそれ。
だが傍から見れば恋愛感情にしか見えないのだが……本人が違うと言うのなら違うのだろう、としておく。
そんな彼等に埋もれてしまいがちだが、一応両思いも存在する。
例えば、妖精戦闘狂なんて異名で呼ばれる銃使いと、その彼とタッグを組むとなれば真っ先に名の上がる杖使い。まあ彼等の場合はいわゆる両片思いというヤツなのか、2人とも鈍感故に相手から好かれているという考えすらないのだけれど。
既にギルドにはいないが、その姿を多く見かけるという点から彼の名前が挙がるかもしれない。
つい最近、死んだと思われていた恋人と生きて再会を果たした評議院第一強行検束部隊隊長。時折職場に来てはサボり癖のある彼を激励する彼女の姿は、既に珍しい
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