大嫌いだと、彼女は言った
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ていい理由じゃねえよ?仲良き事は美しきかなって言葉だってあるんだぜ?」
「仲良くねーよ!つか、何でお前はそうやっていつもいつも口うるさく言ってくるんだよ!」
「えー、だってそりゃあ」
そして、いつも彼は言う。
噛みついてくるミラに、ふっと微笑んで。先ほどまでとは違う、穏やかな笑みで言うのだ。
「理由やら原因やらが何であれ、仲良くしてんの見る方が気分いいだろ?」
「だ―――――!何なんだよアイツ本当に!」
感情任せに近くの木を蹴る。はらはらと落ちてくる葉を鬱陶しそうに手で払って、ミラはその場にどかっと座り込んだ。
あの後どこにも噛み付けず、黙り込んだ自分の頭を「な、頼むよ」なんて言いながら撫でて。その手を振り払って、いつものように街の東の森でこうして苛立ちを発散している。けれど今日はどういう訳だかいつもほどすぐに感情が治まらなくて、何度も何度も脳裏にはあの笑顔。
「あー、ったく……気に入らねえ…」
何度目になるか解らない言葉を吐く。
初めて会った時からどうにも合わない相手、それがアルカだった。初対面で喧嘩を売られたとか、大事な弟妹が何か言われたとか、そういった明確な理由があって嫌っているのではない。ただなんとなく、コイツとは合わないなと初対面ながらに思ったのを今でも覚えている。
彼の性格が悪い訳ではない。明るく社交的で、少々短気な気もするが正当な理由がない時は怒らない。自分の大事なもの―――例えばギルドであったり仲間であったりを侮辱されない限りは、本気で怒ったりはしない。エルザとミラに対しての言動だって、怒っている訳ではないのだ。それが周囲への気配りから来る言動だというのは、きっと誰だって知っている。
ミラだって、それに対して苛ついてはいない。腹が立たない訳じゃないけれど、この苛立ちの原因ではないのは自分でも解っている。苛立つ理由に気づいたのはつい最近の事で、けれど他の誰かに言えば笑い飛ばされるようなもの。
「……何で、アイツ…」
誰か、気づいている人はいるのだろうか。
「誤魔化してまで、笑うんだろ」
「え、アルカとミラさんって仲悪かったの!?」
「仲が悪いっていうよりは、ミラの方が突っかかってただけとも言えるけどね」
小さく肩を竦めて、ティアはストローでグラスの中をゆるりとかき混ぜる。小さく音を立てる黒い炭酸飲料が彼女の好物に加わったのは、つい先日の事だ。
カラコロと回る氷を軽くストローで突いてから一口飲んで、続ける。
「まあ、今の2人しか知らないアンタからすれば衝撃でしょうね。アルカはミラを蹴り飛ばすし、顔を合わせれば口論するし。だからアイツ等が付き合うって聞いた時は全員嘘じゃないかって疑ったわ」
「ああ…」
そ
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