大嫌いだと、彼女は言った
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ミラジェーン・ストラウス。
それが“魔人”と呼ばれる少女の名であり、アルカが最も手を焼く相手であった。
「やんのかエルザァ!」
「今日こそ決着をつけるぞミラジェーン!」
それは今から5年程前。ハッピーが生まれて丁度1年が経った頃。
顔を突き合わせ睨み合うのは、妖精の尻尾で将来有望とされる女魔導士3人のうちの2人。まだ幼さの残る年齢で、けれど大人に引けを取らない魔導士だった。
その3人のうちの1人、後にギルド最強の女問題児と呼ばれる少女は2人から距離を置いたところにおり、そんな2人を呆れたように眺めている。
「くっそー!オレとグレイには喧嘩すんなって言うくせに!」
「だったら言い返せばいいんじゃないの?」
「ルー…お前、アイツ等に言えるか?それ」
「ティアが頑張れって言ってくれたら出来るかも!」
つい先ほど「止めんか!」とエルザに一喝されたばかりでご立腹のナツにルーが首を傾げると、この頃から変わらず上半身裸なグレイが、引きつった笑みで問うた。名前の挙がったティアは、興味ないと言わんばかりに小さく鼻を鳴らす。その青い目がちらりとギルドの出入り口を眺め、口角が僅かに愉快そうに上がった。
「……ま、長引きはしないんじゃない?」
「は?」
眉を顰めるグレイ。だがすぐに言いたい事が通じたのか「ああ…」と頷く。彼女の向かいで「ティアちゃん今笑ったよね!?やったね超レア!」とガッツポーズをする姿には、今更過ぎて誰もツッコミを入れない。
一応師弟関係らしい2人が「笑ってないです」「いや笑ったよ!あたし見たよ!」「目まで悪くなったんですか?」と言い合いを続けている間にも、赤髪のストッパーは既に少女2人の死角を取る。
「お・ま・え・ら…?」
「ん?」
「げっ」
一音ずつ区切る声への対応はそれぞれで、エルザは何気ない動作で振り返り、ミラは嫌そうに顔を顰める。対するストッパーたる彼はとても、それはそれは素敵なにっこり笑顔で指の関節をポキパキと鳴らしていた。きっと今の彼は今のギルドで1番いい笑顔だろう。
「また邪魔すんのかよ、アルカ」
「ギルドのド真ん中でモメてるよりは邪魔にゃならねえだろうよ。つかオレは別に喧嘩すんなって言いたい訳じゃねえって言ってんだろ、やるならやるで場所くらい選べって話なんだって」
突っかかる相手をエルザからアルカに切り替えて、ミラは鋭い睨みを向けた。だがしかし、その程度で怯んでいてはストッパーなど務まらない。序でに言えば、このくらいの睨みならティアと接していれば日常茶飯事だ。
自分よりも低い位置からの目線に僅かに笑みを崩して、アルカは「あのなあ」と続ける。
「そりゃあ喧嘩するほど仲がいいって昔の誰かが言ったけど、だからって喧嘩しまくっ
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