大嫌いだと、彼女は言った
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気まぐれに揺れるその矛先を向けられないのは極々一部の人間だけである。
「余計も何もっ……オレがその話されんの嫌いだって知ってるよなお前!」
「当たり前でしょ、何年の付き合いだと思ってる訳?」
「9年!ってそうじゃなくて、だったら何で口挿んだんだよ!?」
若干キレ気味になりながら、びしっと人差し指を突き付ける。
と、ティアは自然な流れで眉を顰め―――それから、「何を言い出すかと思えば」とでも言いたげに肩を竦めて、ふっと口角を上げた。
「ただの気まぐれよ」
「ありがとうございました、ルーさん。おかげで助かりました!」
「僕何にもしてないよ?後ろの方でひたすら盾張ってただけだったし……」
困ったように微笑んで、ルーはこてりと首を傾げた。
然程大きな仕事ではなく依頼先がマグノリアから近い距離にあったのもあって、3人と1匹は既にマグノリアに帰って来ていた。普段ならウェンディ、ココロ、シャルルと一緒にいるのはアランだが、その彼はというと「今日はどうしても外せない用事があるんです!」と、あまり感情を強く出さない彼にしては珍しく目を輝かせて、朝から出かけている。その手に“大食い大会X784!優勝者には豪華賞品と賞金200万J!”と派手な色の文字が躍るチラシが握られていた辺り、参加するのだろう。
「ルーさんの防御魔法って凄いですね!埃っぽい空気からも守ってくれるなんて…」
「空気とか風は僕の専門だからねー。盾じゃなくても手段はあるんだけど、ぱっと張っちゃえばその後手を加えなくていいから簡単だよう」
今回受けた依頼は屋敷の掃除。戦闘を苦手とするルーや、まだ大きい仕事に慣れないウェンディとココロにとっては、そこそこの報酬がある手頃な仕事だった。因みに報酬は、この手の依頼にしては高めな60万J。取り分は均等に20万ずつとしてある。
「それにしても何なの、あの屋敷……どうしたらあんなにゴミだらけの埃だらけになる訳?」
「依頼人さん、掃除は苦手だって言ってましたけど…」
「苦手ってどころの話じゃないよねえ、あれ」
悪態づくシャルルの言う事は尤もだった。つい数時間前までいた仕事先を思い出して、ココロとルーが苦笑いを浮かべる。
依頼人はそこそこ裕福な家庭の人で、住んでいる家も大きな屋敷だった。が、どういう訳だが中は最悪で、埃が1cmは積もり、パンパンになるまで詰め込んだ黒いゴミ袋が床を埋め尽くしそうなほど転がっており、酷い悪臭に鼻のいい滅竜魔導士のウェンディは気を失いかけたくらいだ。即座に窓を開けて風の魔導士3人が全力を以て空気の入れ替えを行ったところで、依頼書にあった“風の魔導士必須”の意味をようやく悟ったのは余談である。
とにかく3人と1匹は、ひたすら埃をはたいては魔
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