大嫌いだと、彼女は言った
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ものではなくなっている。かつてはそのお転婆っぷりで彼を困らせる事もあったようだが、その印象は消え去っていた。
両思いではない、けれど片思いとも言い難い。そう表しにくいのが、常時メイド服の彼女だ。
敵対していたギルドの解散後加入した彼女が想う相手、となれば真っ先に浮かぶのは粗い黒髪の彼だろうが、どうやらそれは違うとの風の噂。同年代のメンバーとの会話に出た同郷の青年が1番怪しいが、その関係を漁る材料は残念ながら手元にない。
……さて、いくらかの候補が出た現時点で、首を傾げる方もいるだろう。
一組足りない、何よりも真っ先に浮かぶはずの名前が出ていないと。上記の彼等よりも恋愛となればイメージの湧く、燃えるような真っ赤な髪の彼がいないと。
アルカンジュ・イレイザー、そしてミラジェーン・ストラウス。
ギルドきっての美男美女カップルを、どうすれば忘れられるだろうか。
さあ、今回はキミ達が主役。思う存分語ってもらえるかな、アルカ君。
……ああ、それともミラ嬢に期待した方がいいのかな。彼は案外語りたがらないから。
まあ、誰だっていいんだ。語る話も何だっていい。
――――彼女が満足する内容なら、それで百点満点。
ボクはただ、それを傍観させてもらえれば構わないんだから。
「ぶふっ」
漫画などで有り得そうな音を発して、アルカは飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。空いた左手を口元に持っていく事で飛沫を抑えどうにか飲み込んだはいいものの、この状態で変なところに入らない訳もなく大きく噎せる。
ギルドのカウンターの、彼の指定席とも化している右端。そこにいつも通りに座り、特に考えないまま好みでコーヒーを注文、淹れてくれるのが彼をよく知る恋人だというのもあって熱すぎず冷めすぎてもいない好みの温度で出され、流石ミラだマジ最高と心の中で称賛していたら爆弾が落とされた。
いや、もちろん実際の爆弾ではない。そんな事になっていたらコーヒーを吹き出しかけている余裕なんてありはしないだろう。この場合の爆弾とは、爆弾発言とでもいうべきか。―――そう。
「私とアルカの馴れ初め?」
「はい!」
グラスを拭く手を止めてミラが繰り返した、つい数十秒前のこの問いかけである。
「げほっ…何で、そんな話……ごほっ」
「ずっと気になってたのよねー、2人の馴れ初め。……てか、大丈夫?」
「だ、大丈夫……」
問うルーシィにどうにか笑顔を見せ、どうにか呼吸を整える。噎せた原因ともいえる発言を繰り出したのは彼女だが、だからといってそれを責める気はない。
普段テーブル席に比べると人の少ないカウンターには、今アルカを含め5人ほどが座っている。1番右端がアルカ、そのすぐ隣
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