第十一話 ワルド夫人と虚無の復活
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☆ ☆ ☆
ワルド子爵主催のパーティーはマクシミリアン王子の飛び入り参加で、一子爵のパーティーにしては、かなりの盛況ぶりだった。
途中、ワルド夫人も現れ、一瞬、妙な雰囲気になったものの、狂人どころか知性に溢れる立ち振る舞いで『所詮、噂だった』と、参加した貴族たちは口々に言ったため、ワルド父子は胸を撫で下ろす事が出来た。
参加した貴族たちが引っ切り無しに挨拶をして来る為、中々、食事に有り付けなくなっている所に、知らないうちにワインを渡され、何杯か飲んでしまっていた。
10歳の身体と空きっ腹にワインを飲んでしまったため、マクシミリアンはすっかり出来上がってしまった。
「やぁ、ミス・エレオノール。ご機嫌いかが?」
「こんばんは、マクシミリアン殿下、楽しんでおりますわ」
べろんべろん……とは行かないまでも顔を真っ赤にしてエレオノールに挨拶する。
「ミス・エレオノールにお知らせしたい事がありましてね」
「まあ、何でしょうか?」
「カトレアの病気を治す目処が立ちましてね、ふふふ」
「ええっ!? それは、本当でございますか!?」
「本当ですとも、期待していて下さい」
にこやかに語らう二人。
だが、エレオノールの心に何かモヤモヤした物が出来た。
エレオノールが突如、沸いた感情を持て余していると、パーティー会場の音楽が変わる。
何人かの貴族たちが会場の中央に集まってダンスを始めた。
「ミス・エレオノールも一曲いかがですか?」
「えっ!? でも……よろしいのですか?」
エレオノールは一瞬、躊躇った。
妹のカトレアと話していたとき、カトレアが『ダンスを踊る約束をした』と、マクシミリアンとの約束を楽しそうに語ったのだが。
(妹を……カトレアを差し置いて私がダンスの相手をして良いのかしら……)
と、エレオノールは悩んだ。、
今までエレオノールはマクシミリアンの事を『畏れ多いが弟のような存在』と、思っていた。
だが、先日の一件でマクシミリアンの事を『弟のような』存在に見る事が出来なくなってしまった。
三歳も年下なのに、何処か年上に諭されるような感覚にエレオノールは混乱したからだ。
今まで、エレオノールが婚約者の貴族を始め出会った同世代の男の子たちは、ラ・ヴァリエール公爵の威信に顔色を伺う者たちばかりでウンザリしていたし、エレオノール自身も、ラ・ヴァリエール公爵家の長女として母のカリーヌ夫人から、威厳に満ちた立ち振る舞いを要求されストレスが溜まっていた。
いつの間にかエレオノールは、グイグイとリードしてくれる男性を欲する様になったのは、仕方の無い事なのかもしれない。
(殿下がこう
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