暁 〜小説投稿サイト〜
水の国の王は転生者
第十一話 ワルド夫人と虚無の復活
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
            ☆        ☆        ☆








ワルド子爵主催のパーティーはマクシミリアン王子の飛び入り参加で、一子爵のパーティーにしては、かなりの盛況ぶりだった。

途中、ワルド夫人も現れ、一瞬、妙な雰囲気になったものの、狂人どころか知性に溢れる立ち振る舞いで『所詮、噂だった』と、参加した貴族たちは口々に言ったため、ワルド父子は胸を撫で下ろす事が出来た。

参加した貴族たちが引っ切り無しに挨拶をして来る為、中々、食事に有り付けなくなっている所に、知らないうちにワインを渡され、何杯か飲んでしまっていた。
10歳の身体と空きっ腹にワインを飲んでしまったため、マクシミリアンはすっかり出来上がってしまった。

「やぁ、ミス・エレオノール。ご機嫌いかが?」

「こんばんは、マクシミリアン殿下、楽しんでおりますわ」

べろんべろん……とは行かないまでも顔を真っ赤にしてエレオノールに挨拶する。

「ミス・エレオノールにお知らせしたい事がありましてね」

「まあ、何でしょうか?」

「カトレアの病気を治す目処が立ちましてね、ふふふ」

「ええっ!? それは、本当でございますか!?」

「本当ですとも、期待していて下さい」

にこやかに語らう二人。
だが、エレオノールの心に何かモヤモヤした物が出来た。
エレオノールが突如、沸いた感情を持て余していると、パーティー会場の音楽が変わる。
何人かの貴族たちが会場の中央に集まってダンスを始めた。

「ミス・エレオノールも一曲いかがですか?」

「えっ!? でも……よろしいのですか?」

エレオノールは一瞬、躊躇った。
妹のカトレアと話していたとき、カトレアが『ダンスを踊る約束をした』と、マクシミリアンとの約束を楽しそうに語ったのだが。

(妹を……カトレアを差し置いて私がダンスの相手をして良いのかしら……)

と、エレオノールは悩んだ。、
今までエレオノールはマクシミリアンの事を『畏れ多いが弟のような存在』と、思っていた。
だが、先日の一件でマクシミリアンの事を『弟のような』存在に見る事が出来なくなってしまった。
三歳も年下なのに、何処か年上に諭されるような感覚にエレオノールは混乱したからだ。

今まで、エレオノールが婚約者の貴族を始め出会った同世代の男の子たちは、ラ・ヴァリエール公爵の威信に顔色を伺う者たちばかりでウンザリしていたし、エレオノール自身も、ラ・ヴァリエール公爵家の長女として母のカリーヌ夫人から、威厳に満ちた立ち振る舞いを要求されストレスが溜まっていた。
いつの間にかエレオノールは、グイグイとリードしてくれる男性を欲する様になったのは、仕方の無い事なのかもしれない。

(殿下がこう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ