第十一話 ワルド夫人と虚無の復活
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
この布は特殊なマジックアイテムでカトレアの魔力を測ったもので、布に写っている赤や黄色といった色は『魔力の強さ』という意味で、サーモグラフィと同じように赤色に近づくほど数値は高くなる……と、いう仕組みになっている。
カトレアの場合、かなり強力な魔力を持って生まれた為、普通ではありえない数値を観測し、シルエットの色が赤と黄色のみで写ってしまった。
ワルド夫人が言うには、この数値は百年に一度の大メイジだ。と、やや興奮気味に語った。
「そして、この胸の部分の穴のようなもの……部分的には心臓部ですが」
話はカトレアの病気の原因に移る
「胸の部分だけがどういう訳か魔力が測れなくなっていまして、あのマジックアイテムは普通なら、身体全体の魔力が測れるように設計されています」
「それならば、なぜあのような穴みたいなものが?」
「それは、ミス・カトレアの心臓に原因があるかと……」
「先日、カトレアを調べた際、全身をくまなく調べました。もちろん、心臓もです。その時は健康で問題なし……と、判断したんですが」
「ミス・カトレアの心臓は、強力な魔力を持って生まれた割には魔力に対しては脆弱でして……」
「強力な魔力に心臓がついていけない……そういう訳ですか?」
「それも原因一つですが、それと、これは仮説ですが……」
と、前置きしながらワルド夫人が続ける。
「先ほど言いました、精霊の増大の話。年々増え続ける精霊にミス・カトレアの心臓も何らかの反応を起こしていると、私は考えています」
「何らかの反応? 拒否反応……と、言う事ですか?」
「拒否反応かどうかまでは……中止してしまった為、分かっていません」
「……うーん」
思わず考え込むマクシミリアン。後ろのワルド父子は話について行けなくなっていた。
(脆弱な心臓が持って生まれた強力な魔力に耐えられず。そして、日に日に高まる精霊の力にも耐えられなくなっている。病巣は心臓……と、いうことか?)
マクシミリアンは考えを、まとめながらも、解決策を模索し始めた。
「……う〜ん」
「殿下、何か名案を?」
と、ワルド子爵が尋ねた。
「ああ、ワルド子爵。そうだね……う〜ん、ちょっと整理中……かな」
「……そうですか」
邪魔にならない様に、後ろへ下がった
「ワルド夫人、質問したい事があるんだけど」
「はい、殿下。なんなりと」
「カトレアの病気の原因は魔法に脆弱な心臓。心臓が悪さをする……と、言う事で良い訳ですよね?」
「そういう……事になります……はい」
「それなら、別の心臓に取り替える……心臓移植なら、あるいは」
ワルド親子三人はギョッと驚いた顔をしてマクシミリアンを見た。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ