第十一話 ワルド夫人と虚無の復活
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ばならない。
マクシミリアンは余りの荒唐無稽さに口を歪ませた。
それに、マクシミリアンが欲しかったのはカトレアの治療法であって、嘘か真か分からない世界の危機の情報のなど欲しくなかった。
……少なくとも、今現在の優先順位は低かった。
ふと、視線を外し、ワルド父子の方を見ると、心配そうにしながら、いつでも介入できるように構えていた。
マクシミリアンは『大丈夫』と、手で制した。
「世界の危機の事は良く分かりました。心に留めて置きましょう。……話は変わりますが……」
適当に相槌を打って話題を変える。
「ワルド夫人はヴァリエール公爵家のカトレアを治療を請け負った事があると聞いたのですが。その時の資料を是非見せていただきたいのです」
「ヴァリエール公爵のミス・カトレア……ですか。……うん」
話を変えられ、ちょっと不機嫌になったが、それは、ほんの一瞬だけ。
「ワルド夫人、何か情報があるんですか?」
「はい、ミス・カトレアの病気の思う事がありまして。……ともかく、詳しい事は私の部屋で」
そう言って、サッと踵を返すワルド夫人。
マクシミリアンら三人も、ワルド夫人の後に続いた。
☆ ☆ ☆
ワルド夫人の自室では大量の本棚や妙な機材が置いてあって、何処かマクシミリアンの部屋と似ていた。
「少しだけお待ち下さい」
そう言うと、ワルド夫人は本棚の中から、折り畳んだ一枚の白の布生地を取り出した。
「ワルド夫人、それは?」
「これは、ミス・カトレアの治療を行った際に撮った物でして……」
ワルド夫人は畳んだ布生地を広げると、子供ぐらいのシルエットの魚拓ならぬ人拓……が、黄色と赤のまだら模様で描かれていた。サーモグラフィと、思えば分かりやすいと思う。
「ミス・カトレアの体内でどの様な魔力の流れになっているか測った物です」
「……カトレアの治療は中止になったと聞いてましたが」
後ろで控えていたワルド子爵に聞いてみた。
「ミス・カトレアに魔法を使わせるのは、私が止めさせましたが……」
「中止する前に、魔法を使ってない状態のミス・カトレアを撮っておいたのです」
と、ワルド夫人が続く。
「……なるほど、分かりました。それで、カトレアの病気はどの様な物なのでしょうか?」
本題のカトレアの病気について聞いてみる。
「こちらをご覧ください」
ワルド夫人はシルエットの胸の部分を指差すと、ポッカリと穴が開いたように黒くなっていた。
「この穴のような物は?」
「それはですね……」
ワルド夫人が解説を始めた
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