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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第219話 囚われの美女
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出来た、と確信するキリトだった。
そして、第4層。
このフロアは、ユイの言う通り、ボス部屋のみの構成であり、その場所へと続く長い通路、多少入り組んでいるものの、最後のボス。と言う事もあり、小細工抜き、寧ろ『さっさと来い』と言わんばかりに、懐を広げて待ち構えているかの様だ。
ならば、王スリュムとやらをニブルへイムに叩き返してやろう。と気勢を上げながら更に奥へと突き進んでいた時、……判断に迷う、一つの光景が出現したのだった。
それは、細い氷柱で壁際に作られた牢だった。
地面と天井から、まるで鍾乳石のように鋭く伸びる氷の向こうに、一つの人影があった。巨人のサイズではなく、自分達となんら変わらない、と 目算ではあるが推察。こちら側で言えば、ウンディーネのアスナ、プーカのレイナと同じ位だと言う事がよくわかった。
肌は、このニブルへイム一面に降り注ぐ雪の様な白。いや、冷徹な氷雪ではなく、粉雪の様な印象だ。更に アスナの様に長く流れる髪の色は、金色。そして、更に言えば身体を申し訳ばかりに覆う布から覗く胸部のボリュームは、政治的に正しくない言い方になってしまうのだが……、正直な感想を言えば、この場の女性陣全員を遥かに圧倒している。
――妙な事を考えていたら、睨まれてしまう為、キリトは考えない様に、他の状況に目を向けた。
そして、もう1つ見つけたのは、なよやかな両手両足に無骨な氷の枷が嵌っていた事だ。
囚われている、と言う第一印象。そして、それを肯定するかの様に、眼前の氷の牢獄に囚われた女性はか細い声で言った。
「お願い……、私を……ここから、出して………」
ふらり、と氷の牢獄にまるで引き寄せられそうになるのは、刀使いだ。
そういえば、一目見た瞬間から、妙な奇声を発していた様な気がしていた。
すかさず、キリトは尻尾の様なバンダナをがしっ! と掴む。リュウキも鞘に入れたままの長い剣で、行く手を阻む。
「罠だ」
「罠よ」
「罠、だね」
「罠ね」
後ろの二つは、シノン、リズ、そしてレイナのものだった。
ぴくり、と背中を伸ばして振り向いたクラインは振り向くと実に微妙な表情で、がりっと頭を掻いた。
「お、おう。……罠、だよな。……罠、かな?」
引き止めたまま、まだ声を発してないのはリュウキのみであり、クラインは往生際が悪い様に、リュウキに目を向けた。
いつもの様に、眼を集中させて 彼女を視る。
以前でも、ある程度説明をしたことがあるが、彼の眼はそこまで万能ではなく…… システムの細部。即ち、フラグが立って、初めて起こる後出しイベントを視抜いたり、までは出来ない。
「――……NPC、だな。だが、少しばかり通常のものとは違う……」
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