第二十六話
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時。それまでは、転移結晶を使わないと出れないことになってるんだよ」
「うーん……いいんじゃない?」
言外に、「転移結晶を使うか?」とショウキは言ってきてくれてはいるが、ここにいるのは元々あたしがボスにやられたせいだし、値段が高い転移結晶を、ショウキは脱出の時にもう使ってくれてるんだから、これ以上は申し訳ない。
……むしろ、あたしが文句を言われても仕方ないのに……根っからのお人好しなのかしら。
「そうか……良いなら良いんだけど。それじゃ、飯いるか?」
飯と聞いた瞬間、あたしの贅沢な胃袋が反応する。……まったく。
「……うん」
頬を赤らめて頷くあたしに、ショウキは気さくに笑いながらサンドイッチ(のようなモノ)と、お茶をアイテムストレージから放り投げてくれる。
「料理スキルは微妙にしか上げてないから、味はイマイチだと思うけどな」
「……ううん、美味しい」
一口かじったサンドイッチは、別段特別な味はしなかったけれど、何でだろうか、とても心に来る味だった。
ふと思うと、もしかしたらいつしかあたしは、食事でさえただのデータと思うようになっていたのかもしれない。
だけど、このサンドイッチを食べる時にはそんなことは露ほども思わなかったから、その差なのかもしれない。
あたしの内心とか裏腹に、ただの軽食でしかないサンドイッチはすぐ食べ終わってしまう。
ちょっと残念だったけど、これは仕方ない。
「ご馳走でした、と……少し早くて悪いんだが、疲れたんで寝させてもらうな」
「確かに、あたしも慣れないことして疲れたわ……寝よう」
お互い同時に、あくびをしつつ身体を伸ばしてしまい、思わず笑い合う。
「更に悪いが、部屋をこの部屋しかとってない」
「へぇ……え!?」
ふ、二人で一部屋ってこと?
ついつい身構えてしまったが、何かあるんだったらもうとっくに何かあるわけで。
……なんだか、そう考えると、ちょっとプライドが傷つけられたような気がしないでも無いけど。
ショウキは、アイテムストレージから今度は毛布を取り出し……一体何が入ってるんだろう……灯りの方へ歩いていった。
「じゃ、灯り消すぞ」
「あ、うん」
ショウキの言葉と共に部屋の灯りが消え、それとほぼ同時に床に横たわったような音が響いた。
……あたしだけベッドで寝るなんて、なんだか悪い。
掛け布団だけ持って、ショウキに習って床に横たわった。
木製の床が、意外とひんやりとして気持ちいい。
「ベッドで寝ないのか?」
ちょっと横からショウキの声が聞こえてくる。
ショウキの服と毛布が真っ黒なせいで、イマイチ良く見えない。
「ふふん、私の勝手でしょ? ショウキこそ、ベッドで
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