出来ることなら、もう一度。
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みになってきた。
そうして迎えた放課後。
廣秋は武田先生に連れられてバレー部が活動している体育館に向かっていた。緊張はしないが、また昔みたいに蔑視されたらと思うと身がすくむ。
でも、あれは自分の態度が悪かったからだと思うから、ちゃんと周りに合わせれば大丈夫なはず。
「谷地君、着きましたよ。行けますか?」
「はい、大丈夫です」
そうですかというよりも早く武田先生は重い引き戸を引いた。
ボールが弾む音。シューズがコートにこすれる音。どれも懐かしい。一つ深呼吸をして体育館に入るともうすでに武田先生を囲むようにして集合していた。
ちらっと一通り見れば、仁花が嬉しそうににこにこしていた。それでもほかの人から向けられる視線は痛い。
大丈夫、頑張ろう。
「皆さん、仮という形になりますが、バレー部に入ってくれる谷地君です。本入部は手続きが終わってからとなりますが、今日から皆さんの仲間になる人です。では谷地君、自己紹介と意気込みを」
「はい。……二年、谷地廣秋です。部活には入っていませんが、バレーはやってました。ポジションはウイングスパイカーです。…………っ」
「……? どうかしましたか?」
「……出来ることなら。…………出来ることなら、もう一度、東京体育館に立つために頑張ります。よろしくお願いしますっ……!」
『お願いしやぁっす!!』
彼のやり直しの一歩目だった。
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