第34話
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そうなれば私でも難しい」
「しかし戦況は我々の方が――」
「不利にあった」
『!?』
「原因は趙雲隊と――公孫賛の軍だ」
劉備達にとって幸運だったのは、親友を心配した白蓮が近くに布陣していた事だろう。
そして彼女は諸葛亮からの要請を受け、劉備軍と共に動いたのだ。
白蓮は義勇軍である劉備達を援護するだけでなく、趙雲の策を見抜き支援しようと動いた。
星は隊を二つに分け、ある指示を施した。
それは――華雄軍の後方に回り、退路を断つというもの。
しかし趙雲隊だけでは効果が薄く、星の考えた策は成らない。
そこに現れたのが白蓮こと公孫賛軍だ。
「趙雲隊だけなら我等の突破力の前に、大した足止めにはならなかっただろう。
だが公孫賛軍……奴等も後方に回り込ませたら、私たちの撤退は苦しいものになる」
「で、でもよぉ姉御。それでも俺らの有利には――」
「まだわからんか、後ろを見ろ馬鹿者」
「!? あ、あの砂塵は!」
「気が付いたようだな、連合軍本隊のものだ」
『……』
勇猛果敢で知られる華雄の兵たちも流石に血の気が引いていく、目の前の敵に夢中で気がつけなかった。
もしもあそこに留まり続けていたら、今頃は連合本隊と衝突し形勢は逆転していただろう。
「あと少しでも撤退が遅れていたら、我々は趙雲と公孫賛の足止めで……」
「その事態は既に脱した。案ずるな」
「あ、姉御……」「華雄様……」
危機一髪の状況を回避した華雄は笑う。関羽を討ち取ることは叶わなかったが劉備軍、及び趙雲隊に打撃を与えた。
初戦で連合の出鼻を挫いたのは小さくない、何らかの影響を与えられるだろう。
『……』
先程まで危機的状況に恐怖していた華雄軍。彼等は先頭を走る将の姿を見て、胸の中に熱いものを宿らせる。
確かに連合軍は強大だ。力押しで攻められるだけでも絶望的だが、彼等は策、戦術、そして力押しの全てを駆使した。
並みの将、並みの兵であれば白旗を挙げるだろう。しかし、華雄軍の中にそれを考える者は一人も居ない。
皆が彼らの主、華雄の力を信じて。
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