第34話
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動が少ない、ならば少しでも勝ちの目を作る。
まずは奴等の士気を下げてやる!
「華雄様! 側面から我が方に向かってくる軍が!!」
「劉備軍――いや早すぎる、どこの軍勢だ!」
「旗の文字は『趙』。袁紹軍の趙雲です!」
「チッ……側面に兵を集中させろ、ここに入れるな」
「ハッ」
関羽の斬撃を捌きながら部下に指示を飛ばす。その余裕に関羽は焦りを見せ始めた。
――何故だ、何故我が刃が届かぬ?!
怒りは単調な攻撃を、そして焦りは技を鈍らせる。
華雄はその猛攻を淡々と受け、捌き、避わす。
頭に血が上った関羽は敵ではない、その気になれば返す刃で討ち取れる。
時折それが仕草に出る為、華雄は半ば強引にそれを止める。
その行動が関羽の怒りを更に激しくし、動きを鈍らせていった。
「そこまでだ!」
「!?」
「……ほう」
そこに介入したのは趙雲。彼女の襲撃を予期した華雄によって兵の壁を作られたものの、それを物ともせず突破してみせた。
「な、側面の兵は何をしているのだ!」
「これではまるで素通りだ、何と言う突破力」
「ええぃ、ここで討ち取るぞ! 華雄様の邪魔をさせ――」
そこから先の言葉は続かなかった。華雄に近づく趙雲を阻止すべく、彼女に接近した兵士達の目線は気が付れば地面にあった。
そして意識が遠のくと同時に理解する。己が頸が胴と別れたことを――
「ば、馬鹿な!?」
遠巻きに様子を見ていた華雄軍の兵士が驚くのも無理は無い。
まさに神速。
打たれた事にも気付かせない程速度をもった突き。趙雲を討つべく接近した者達は、次々に唖然とした表情でこの世に別れを告げた。
「一旦下がるのだ関羽! 自軍に合流し体勢を立て直して――「邪魔をするな!」!?」
「私の獲物だ、私の戦いだ。邪魔立てするのであれば例えお前でも……」
「……」
関羽の怒りは頂点に達していた。一騎打ち不成立、華雄の挑発、主に対する侮辱、そして手加減。
様々な要因が収束し、彼女の意識は殺意という形で華雄にのみ注がれていた。
――く、ここまで頭に血が上っているとは想定外だ。
星を制止させ、関羽は再び猛攻を仕掛ける。
攻めは単調、息も上がっている。誰が見ても勝ち目の無い一騎打ちに固執した関羽。
星が割ってはいるのは簡単だ、しかし関羽は正気を失っている。
手出しすれば間違いなくその怒りが向けられるだろう。
もはや捨て置くほか無いのか。関羽救出を諦めかけたその時だ。
「愛紗ぁぁッッ!」
彼女の真名を呼ぶ声が一つ、張飛だ。
趙雲隊に少し遅れ義勇軍と共にやって来た彼女は義姉救出の為、単身で華雄軍を突破した。
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