第34話
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水関の防衛を任された華雄は苦心していた。本来彼女は攻めに特化した将だ。
そんな自分が如何に連合から水関を守れば良いだろうか、散々考えた挙句碌な答えが出てこなかった。
だから唯一つ、相手の嫌がることをしよう。
攻めに来る者達を自分に見立て。どのように動かれたら厄介か、どのように戦われることを嫌うか。
関羽を確認し下に降りる。一騎打ちを申し込むだけに腕が立つのだろう、狙いは間違いなく自分の頸。
圧倒的劣勢である董卓軍及び華雄軍の精神的支柱である自分を討てれば、水関を比較的容易に落とす事が出来る。
――だが、問題だらけだ
まず一騎打ちを成立させなくてはならない。あれだけの規模を誇る連合のことだ、恐らく自分の事を調べつくしているはず。
――関羽は私を挑発とようとしていた。大方、私の武にけちをつける算段だったのだろう。
しかしそれだけではまだ弱い。華雄を確実に一騎打ちに持ち込むには……。
――兵だ! 後方に下げる事で堂々とした雰囲気を漂わせ、一騎打ちの空気を作り上げた!!
これでは華雄としても引くわけにはいかない。武に誇りを持つものとして、そして水関の支柱として、これに乗らねば大陸の笑い者になるだけでなく兵の士気にも大きく影響がでるだろう。
相手はたかだか義勇軍の将。自軍から孤立したその者の一騎打ちを断ったとして挑発し続けられ、兵たちの士気を下げまいと応じさせる。
――だがそんなものは所詮、奴等の都合だ。
一騎打ちに応じるものと考えている関羽が嫌がる行動。兵は遥か後方、本隊もさらに後ろに位置するこの状況で相手がもっとも嫌がるのは――
「突撃だ!」
『オオオォォッッッッ!』
「ッ……くッ」
華雄とその兵を確認した関羽は馬を翻し自軍へと走らせた。事前に違和感を感じていたことも有り、咄嗟の出来事にもかかわらず反応できたのだ。
他の者であれば予想外の出来事に動きが遅れ、兵の波に飲み込まれていただろう。
――危なかった。
馬を疾走させながら後方に目を向ける。案の定、華雄を先頭にその兵たちが彼女に続いていた。
それを確認して関羽は思わず舌打ちする。
いくら腕に覚えがあるとはいえ、華雄のみならず万に及ぶ軍勢を相手にできるわけが無い。
――斯くなる上は自軍の合流し、迎撃するほかない!
任を全うできなかったにも関わらず、関羽に負い目の類は見られない。
それどころか彼女の瞳は猛った光を放ち続けていた。
義勇軍の集まりである自軍に、精鋭と名高い華雄軍の相手は分が悪いだろう。
だがそこには頼りになる義妹が、そして軍師達が居る。何より趙雲隊も居るのだ。
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