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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十二話 批准
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めモードだ。議員達は拒否って言ってるけど拒否なんて出来るのかって。僕もそう思う、軍は降伏しちゃったしアルテミスの首飾りもない、拒否なんて出来るの? いや拒否したらどうなるんだろう? そっちの方が心配だ。一緒に新しい国を作ろうと言ったのに拒否するなら奴隷にする、そう言われたら如何するんだろう?
地方の自治体からは戦争が無くなるんだから良いんじゃないかって声も有るらしい。これまでは戦場になる事も有って怖い思いをしたけどそれが無くなる。それに戦争が無くなれば開発が進んで暮らしが良くなるって。僕はハイネセンに居たから良く分からなかったけど地方では開発が進んでなくてかなり不便な暮らしをしている人達もいるようだ。そういう人達は良い暮らしをさせてくれるなら帝国でも構わないって考えているみたいだ。
裏切り者って言いたいけど母さんも同じ様な事を考えている。僕が戦争に行かずに済むならそれが一番だって。どうせもう帝国には敵わないんだから素直に講和条約を承認して統一に向けて準備した方が良いって。民主共和政が無くなっても良いのって訊いたけど母さんは“負けちゃったんだもの、仕方ないわ”って言ってた。確かに負けちゃったんだけどね、仕方ないのかな……。
帝国暦 490年 5月 24日 ハイネセン ホテル・カプリコーン エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
トリューニヒト議長が批准書を持ってきた。昨夜二十三時五十分に同盟評議会は強行採決で講和条約を承認した。賛成が僅かに反対を上回るという際どい評決だった。もっともやらせらしい。議員達は最初から否決するつもりは無かったようだ。
だが市民には不甲斐ない姿は見せられない。そういう事で揉めてる姿を見せたのだとか。なんでも裏では誰が反対し誰が賛成するかの振り分けで最後まで揉めた様だ。政治を劇にするなよな。批准書は二部。これを俺が持ち帰りフリードリヒ四世が署名して一部を同盟に返還する。それで講和条約が効力を発揮するというわけだ。
「ヴァレンシュタイン元帥」
「何でしょう」
「私は最高評議会議長を辞職しようと考えています。同盟ではもう政治家としては生きていけません」
「……なるほど、残念な事です」
トリューニヒトは傷付いた様な表情をしている。一応ここは悼んでおこう。
「そこで、閣下の御手伝いをさせて頂きたいのですが……」
「私の?」
「ええ、そうです。三十年、同盟と帝国の統一のために御手伝いを」
トリューニヒトは生真面目な表情を見せている。なるほど、帝国の中に食い込もうというわけか。狙いは権力? 政治家としての仕事? 或いは民主共和政か?
「分かりました、協力して頂きましょう」
「有難うございます」
トリューニヒトが嬉しそうな表情をした。まあいい、同盟についての貴重な情報源
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