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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十二話 批准
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れとも拒否するのかな。拒否したらどうなるんだろう?



宇宙暦 799年 5月 12日    ハイネセン ある少年の日記



吃驚したよ。ヴァレンシュタイン元帥の周囲には同盟からの亡命者が居るらしい。ホテル・カプリコーンを護っているのは帝国の装甲擲弾兵だけどその指揮官リューネブルク大将は同盟からの亡命者なんだそうだ。帝国風の名前だから気付かなかったよ。正確には幼少時に帝国から同盟に亡命して大人になってから帝国に逆亡命したらしい。同盟ではローゼンリッターの第十一代連隊長だった。

今では装甲擲弾兵総監の地位にあって帝国の陸戦部隊のトップなんだとか。信じられないな、そんな人に自分の護衛を任せるなんて。同盟じゃ亡命者は決して歓迎されない、出世だって余りしない。でもリューネブルク大将はヴァレンシュタイン元帥の信頼が非常に厚いそうだ。その証拠に帝国で大将にまで出世している。

副官のフィッツシモンズ大佐も同盟からの亡命者だ。副官なんて側近中の側近、腹心だ。宇宙艦隊司令長官の副官なんて言ったら帝国軍の機密に一番近い所に居るようなものだ。その副官が亡命者だったなんて……。信じられないよ、裏切られたらとか思わないんだろうか? 同盟人に対して偏見とか無いのかな? 陰謀好きの狡賢い奴、そう思ってたけどそれだけじゃないのかな。



宇宙暦 799年 5月 20日    ハイネセン ある少年の日記



今日、母さんと夕食を食べていたらTVでとんでもない事を言っていた。ヴァレンシュタイン元帥が街に出て買い物をしたらしい。書店で本を九冊。買い物は今日だけじゃない、以前にもスーパーでココアを大量に買ったらしい。元帥はココアが好きらしいけどどうやら在庫が無くなってしまったようだ。わざわざ自分で買わなくてもと思ったけどTVでは元帥は街に出る事で同盟市民の様子を自分の目で確認したんじゃないかって言っている。そうかもしれない、母さんも頷いていた。

ちなみに元帥が買った本は『自由惑星同盟建国史』、『銀河連邦史、その始まりから終焉まで』、『政治思想の変遷。銀河連邦の終焉から銀河帝国の創成まで』、『消された声、和平論について考える』、『ダゴン星域会戦記』、『オルトリッチ提督回顧録』、『バーラト星域の開発について』、『星系別経済格差と人口問題』、『軍事費の増大と財政破綻』。

軍事関係の本だけかなと思ったけど歴史、政治、経済の本も買っている。それに『ダゴン星域会戦記』って帝国が敗けた戦いの戦記だし『自由惑星同盟建国史』は……、良いのかな? 元帥の立場で。いや講和条約が批准されれば同盟は反乱軍じゃなくなるから問題無いのかな。

議会では相変わらず延々と討議している。政府は承認を求め議員達は拒否を求めている。毎日大騒ぎだけど僕の周りの大人達は諦
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