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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十二話 批准
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受け取るかで分かれるだろう。今はまだ判断出来ずにいる。
「それに三十年後の統一、現状では実感が分かんでしょう。真綿で徐々に首を絞めるようなものですな。時が経つにつれて少しずつ息苦しくなっていく。……相変わらず意地が悪い」
リューネブルク大将が含み笑いを漏らすとヴァレンシュタイン元帥が不愉快そうに顔を顰めた。それを見て大将が声を上げて笑った。
「意地悪をしているわけではありません。三十年かけて併合の準備をする。そこには同盟市民、フェザーン市民にも参加して貰います。形としては併合による統一ですがこれは新たな帝国、いえ国家の創生なのです。その事はトリューニヒト議長にも言いましたよ」
ちょっとムキになっている。少しだけど可愛い。本心なんだろうけど同盟市民が理解するのは難しいかな。
「まあ我々は閣下の御考えを理解していますから良いですが同盟市民にとってはなかなか理解し難いところでしょう。あっさり敗けたという事実が有りますからな。講和条件は厳しくて当たり前、同盟が消滅しても仕方が無い、そう思った筈です。ところがこれでは……」
またリューネブルク大将が笑い声を上げた。……その辺にしてくれませんか、大将閣下。元帥閣下が顔を顰めています。後で苦労するのは私なんですから……。
宇宙暦 799年 5月 8日 ハイネセン ある少年の日記
今日はホテル・カプリコーンに行ってみた。凄く警備が厳重で中に入る事は出来なかった。まあ入れるとも思ってなかったけど。ホテルの周囲にも大勢の帝国軍の兵士が居て厳しい表情で警戒していた。当然だよね、ヴァレンシュタイン元帥が泊まっているんだから。
警備兵の前でデモ隊が騒いでいたけどあんまり迫力は無かったな。あれならやらない方が良い様な気がする。ホテル・カプリコーンに泊まっているのはヴァレンシュタイン元帥の他には警備兵と元帥の幕僚、数名の艦隊司令官とその幕僚だけらしい。他の司令官達は皆宇宙にいるって聞いた。
その所為かな、ハイネセンでは余り帝国軍の兵士の姿を見る事は無い。僕らの生活も占領前と余り変わらないから時々占領されているって事を忘れそうになるくらいだ。TVで講和条約の内容討議を放送しているけどどうもしっくりしない。本当にハイネセンは占領されているのって聞きたくなる。友達も皆僕と同じ事を言っている。
TVで言っていたけどそれも帝国の深謀遠慮なんだそうだ。要するに講和条約を力で押付けたというイメージを避けるために兵士を少なくしているんだとか。有り得ると思う。何と言っても相手は宇宙で一番狡賢いヴァレンシュタイン元帥なんだから。
どうなるのかな、僕達。講和条約を批准するのかな? 三十年後の併合って本当なんだろうか? 二十三日が討議の最終日だけど議会は講和条約を承認するのかな、そ
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