§69 殲滅戦
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「マジなんとかしてコレ」
弱気な発言と共に逃走の一手をとる黎斗。背後をチラ見しながら逃げるのはしょうがない。普段なら切り裂く追撃の弾丸も、汚物となれば切り裂くのに躊躇してしまい。避けるしかない。それも服につかないように逃げるには、いつものように紙一重で避けたら駄目なのだから。
「ふっ――――」
振り向いて、飛び上がる。三昧真火。神魔すら焼き焦がす紅蓮の焔が視界一面を覆いつくし、糞尿の一切を焼き尽くす。ついでに反動で黎斗の身体は更に後方へ。
「聊か気は進まないけど」
ヴォバン侯爵に変化して。
「みんな、頑張れ!!」
狼を召喚。無数の狼が怠惰の魔神に襲いかかろうとして――――何もできずに倒れ伏す。
「はぁ!?」
動揺した黎斗の頬を掠める、茶色の弾丸。その臭いに顔を顰めて納得する。
「……ギャグかよくそ」
神獣の狼ともなればさぞ嗅覚は強いだろう。それが権能の糞尿に接近すれば、こうなるか。これはカイムの権能で他の動物に助けを求めても無理かもしれない。狼に比べればマシかもしれないが索敵依頼はだせそうにない。オマケに質量・速度ともに申し分ないそれらは単純に弾丸としても十二分な威力を持つ。癪な事だが攻防一体、ふざけた能力だが厄介な事この上ない。
「ふざけんのか真面目にやるのかどっちかにしてくれよ……」
しかも町中いたるところにある絵が、黎斗の動向を監視している。看板や標識を逐一破壊しながら逃げるのは骨が折れる。おまけにさっき、たまたま民家の窓を見たのだが、カレンダーの中のキリンと目があった気がする。つまり、監視の目を完全に潰しきるのは更地にでもしない限り不可能だ。
「絵によるこちらの位置把握と、超長距離からのウンコ爆撃って最悪すぎるだろ」
これらに加えて都市の人間全員を暴徒と化す力。なんだコイツ。都市を壊滅させるためだけに出現したかのような権能の数々ではないか。
「これはミスったか……?」
逃げたのを追いかけてきてくれれば、美術館外に誘導しようと考えていたのにアテが外れた。しかも事態は悪化している。
「破壊光線は……ダメだ。撃ったら都市が壊滅する」
護堂の”白馬”を借りても良いが多分結果は同じだろう。範囲が多少狭くなるが、それでも民間人虐殺コースになるのは変わりそうにない。
「どうしようかな……ってうそだろぉ」
街角から出てくる、戦車たち。一つ一つからとんでもない呪力を感じる。それが、一斉に砲撃してくる。なんだこれ。
「まぁ、大便じゃないだけマシか」
威力は大便より大きいだろう。だが、汚物でない以上黎斗が苦戦する道理は無い。そこらの民間人の服を拝借し解体した長い糸が、汚物と一緒に砲弾を引き裂く。戦車内部に人がいる
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ