終幕
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した。
「くっ・・・いってぇ・・・」
「グラシアン・・・」
かなりの衝撃を受けてしまったためにまだ立ち上がることもままならないグラシアン。キセキは彼を支えてあげたいのだが、自分の背丈では到底彼に肩を貸すことなどできるはずもなく、ただ応援することしかできない。
「グラシアン!!」
「!!」
なんとか上体を起こすことに成功したグラシアン。そんな彼の元に剣咬の虎のギルドマークを入れた魔導士たちが駆け寄ってくる。
「お前ら・・・」
「みんな!!」
自分のことを心配してやってきた仲間たち。今までそんなことがなかった彼にとっては、それは驚いても仕方ないような光景だった。
「大丈夫か?」
「肩貸してやる。しっかり捕まれよ」
グラシアンの腕を自分達の首に回させ、ゆっくりと立たせる魔導士たち。それに対して呆気に取られていたグラシアンは、いつの間にか立つことが出来ていたことにこれまた驚愕している。
「なんで・・・ここに・・・」
仲間なんか意味がない。力こそがすべて。そうやってギルドを作り上げてきた彼にとっては、みんなの行動は理解しがたいものだった。
「なんでって・・・」
「んなの、仲間だからに決まってるだろ」
仲間・・・今までの剣咬の虎だったら絶対に出てこない単語。それを聞いたグラシアンはわずかに目を潤ませていた。
「ローグやオルガたちのところにも手分けしていってんだ」
「早く治療しねぇとな。特にお前はケガひでぇし」
歩くのがやっとのグラシアンに合わせてゆっくりと歩を進める仲間たち。グラシアンはそんな彼らの肩にかけている腕に力をいれる。
「ありがとうな、みんな」
その日キセキが見たグラシアンの表情は、彼の記憶の中で一番の輝きを放っていた。そしてこれからは、その笑顔が何度も見ることができるのだろうと感じたキセキは、彼らと同じように笑顔になっていた。
シリルside
「終わったな」
「とりあえず大会は」
「エルザ、足はどうだ?」
「これしき、何ともない」
ガジルさんとジュビアさん、グレイさんとエルザさんがそう言う。
「シリルくんとガジルくんも大丈夫?」
俺の顔を覗き込むように見つめてくるジュビアさん。あなたも人の心配できるような格好じゃないと思いますけど・・・
「ギヒッ。これくらい余裕にごばばばば・・・」
「おま・・・大丈夫なのか!?」
大丈夫だというところをアピールしたかったガジルさんは、カッコつけてポーズなんか取って見せたが、その部位があまりにも痛かったらしく、うずくまって奇声のようなものをあ
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