外伝
外伝《絶剣の弟子》D
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してありがちな展開をちょっと期待してる?」
「してません」
わざわざ泡を融合させてから、こっちに迫って来る辺りボス戦でも動じて無いらしい。分かってはいたが。
「おーいそこ。イチャイチャしてないで周囲を目視で確認しろー」
「ーーーーっ??」
アルセの声が後ろからしてハッとして離れる。否定しようと慌てて振り向けばそこにいたのは「あらあら」というような顔をしたシウネーさんでアルセさんの姿は無い。
「どこに……??」
「ここだ坊主」
上を見上げればアルセさんが逆さまの体勢で漂っている。
「何でそんなところに……」
「周りを見ろってことだな。ましてやこの暗さじゃまともに見えるのはお前ら2人だけだ。頼むぜ」
そう言うとアルセさんが入る泡が滑らかな動作で曲線を描き離れて行く。泡が静止している状態から舐めからに動くのはかなりコツが必要で、しかも曲線機動はどうやってやっているのかすらよく分からない。
「じゃあそろそろ泡消すわね」
アスナさんとシウネーさんが揃って呪文を唱えるとアバターを包んでいた泡が泡沫となって消滅し、代わりに淡い黄色の燐光が体を包む。
今までとは違い、泡で周りを覆っている訳ではないが呼吸は問題ない。また、仮想の水を周囲に感じるが動く時に違和感はない。
今までのは、脆く壊れやすい上にあまり機動力もない代わりに長時間水中で活動出来るようにする魔法。これは短時間しか効果がないものの、地上とほぼ変わらぬ運動と、時間以外で途中で効果がなくなることは無い魔法だ。
前者は遊覧や索敵、後者は専ら戦闘時に使用される。
魔法を切り替えた途端、場の空気が張り詰めた。時折頬を撫でる水流がなま暖かくなったような気がする。
「来たよ」
セインさんがそう告げながら背から二本の剣を抜刀する。ユウキさんもいつになく真剣な表情で辺りを見回している。
この暗闇の中で目が効くのはユウキさんと俺だけ。自分の役割を果たそうとゆっくりと周囲を見渡す。
けれども辺りは見渡す限りの闇。遂には海底に足が接地した。
「……いませんね」
「うん……」
索敵スキルなどはどうなのかと思い、仲間を見渡してみるが、どうも見つけた様子は無い。水の中なのに冷や汗が垂れる感覚がし、少し気が逸れる。
(極寒の海なのに、少し暑くないか?)
いや寒いことには寒い。ただ、じっとしていると緊張からか汗が垂れてくるような気がするのだ。
(風……じゃなくてもせめて水流くらいあってもいいのに…………?)
そこまで考えた時、何かが引っかかった。そして無意識につぶやく。
「水流……」
「え、なに?」
最初に反応したのは近くにいたユウキさんだった。続いて周りの仲間たちも訝しむ
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