暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》D
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 アルセさんはもう笑い過ぎて目に涙が滲んでいるレベルの笑いっぷりだ。アスナさんも若干引き気味だ。

「な、何かおかしなこと言いました?」
「えっとね、私が言いたかったのは有名人になって、色々大変かもねってこと。サーバーに1つだけのレアアイテム、それを持つことはライト君が考えてるよりずっと大変なことなの」
「あ、そういう……」

 そういうことならさっきの言葉はかなり恥ずかしいことを言ってしまったのではないだろうか。未だ爆笑しているアルセさんもアルセさんだが。

「はー、笑った。腹痛ぇ」
「アルセさん、ちょっと笑い過ぎじゃないですか?」
「いやー、新参者ってのは良いね。あたしらみたいに歪んでなくて。……さ、目的のアイテムも手に入ったし、奴らと合流しようぜ」

 これは馬鹿にされてるのか。怒るべきなのか。手をひらひらと振りながら歩きだしたアルセさんを微妙な気持ちで見ながら後へ続いた。



『大海の食人蟲』というクエストで出てくる《The tenfoldcentipede》から採れるのが《海百足の油》だ。
 海中都市を出発し、さらに深く潜って行くと、辺りはもう完全な暗闇となった。
 すると同時にインプの固有能力である暗視が発動する。視線をフォーカスしたところが明るくなり、海底がはっきり見える。この暗視スキル、便利なのだが視界の端が薄暗かったりと完全では無い。ユウキさんからは、戦闘中は常にターゲットを視界の中心に置くよう事前にレクチャーされていた。とは言っても元より、人間の目も色が正しく認識できる範囲は実は割と狭かったりと似たようなものなので運営に対して文句は言わない。
 アバターは大きな泡の中にいる。周囲には薄い空気の膜が球状に張られ、一定の時間で拳ほどの泡が分離し、上にふらふらと上り消えていく。同時に視界端の青いケージが僅かに減少する。これは泡の中の空気残量を表しており、今はまだ4分の3が残ってる。

「もうそろそろボスのテリトリーだよ」

 ユウキさんがゆっくりと寄って来てそう言う。この泡は激しい動きをして水との境界面を乱したりすると大きく空気の残量が減る。移動は視線を一定時間固定するとその方向に進むようになっていて、6人はゆっくりと降下中だった。

「……いつもモンスターは見上げるか、一緒の視点かなので、足元を這ってると思うとゾッとしますね」
「まあムカデだしね」

 百足、と言っても名前に"10倍の"を表す《tenfold》が入ってるあたり多分足が千本あったりするのだろうが、だからと言って何の慰めにもならない。寧ろ嫌悪感が増すだけだ。

「そう言えば、ユウキさんたちは虫とか大丈夫な人たちなんですか?」
「んー……ボクの場合は好きでも嫌いでも無いけど戦えないって程じゃ無いかな。あ、もしか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ