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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》D
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方無いだろう。例えそのアイテムを売ってたのが路地裏の、ボロボロのマントを羽織ったどこぞの商店から隠遁した設定を持つNPCと見紛う程無愛想なプレイヤーだったとしても目的のアイテムは手に入れたので良しとする。

「わざわざ寒い海を潜って来るようなメリットは殆どない訳だし……仕方がないのかもね」
「やっぱりそうですよね……」

 魅力と言えばまだクリア実績がない、まさに冷凍保存されたクエストが山のようにあり、クエストのストーリーが好きな一部マニアにとっては魅力的な場所なのかもしれない。

「って言っても、昔はそれなりに賑わってたんだぜ?」
「へー。何か特別なことが?」
「うん。レジェンダリーとかエンシェントクラスの武器とか防具がちょこちょこな」
「それは……」

 未だお目にかかったことは無い伝説級武器(レジェンダリーウェポン)古代級武器(エンシェントウェポン)。それらはALOに1本あるいは、1つのものであり、手に入れたプレイヤーは一躍有名人になることが確約されている。中でもサラマンダーのユージーン将軍とその愛剣《魔剣グラム》は最もポピュラーなものとして知られている。

「例えばどんなものが?」
「んー……武器なら《ミストルティン》とか……ああ、ハンニャのヤツの黒装神器(ディアボロ・ネロ)の兜とかここにあったな」

 黒装神器というのは分からなかったが、ミストルティンと言えば有名な武器だ。形状は槍または剣、あるいは矢とも言われ、北欧神話の神の一柱、バルドルを殺したアイテムだ。

「……それ、もう無いってことですよね」
「なんだぁ?もうレジェンダリーをご所望か?」
「いや、まあ……手に入るなら」

 俺だって男でゲーマーである以上、そういう類の厨二チックなアイテムには憧れる。例え、分不相応だとしても。

「ふふ……ね、ライト君。強い武器が手に入って、それを装備したとしら、今の君と何が変わると思う?」
「え?そうですね……」

 強くなる、と答えようとしてどうもそういうことではないような気もした。従来のRPGなら装備を更新すれば、あるいはレベルを上げれば単純に強くなった。プレイヤースキル制のALOではレベルが無いので、主にステータスの向上と言えば装備の更新となる。だが、例え初心者が最強装備を手に入れていきなり強くなれるかと言えば違う。ALOは、いや、VRMMOはそんな温いゲームではない。

「……技量が伴ってなければ、そんな変わらないのではないかと思いますが……上手く言えませんけど」

 しばしの黙考の後、そう言うとアスナさんはキョトンとし、アルセさんは盛大に吹き出した。

「あはは、それもそうかもしれないけど……」
「あははははっ!凄いぜお前面白いな!それ素で言ったのか?そうみたいだな!」
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