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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》D
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海の中は薄暗かった。
 元々地上が吹雪なので、太陽の光は届きにくい。インプの暗視能力を使うまでも無いが、このまま深度を下げて行くとウンディーネの人達はちゃんと見えるのだろうか。

「それじゃあ泳ごっか。戦闘は極力避けて短時間で海中都市まで行くよ」
「海中都市、ですか?」
「うん。ちょっと遠回りになるけど、海中で行動する時の必須アイテムとかが売ってるんだ。地上ではアルンの中央市場で売ってるけど、値段が倍は高いからね」

 戦闘中では活動を支援する魔法が途切れる可能性がある為、必要なものだった。確か飲み込む(使用する)と海中で息が出来るようになるアイテムとか、移動速度が上がるアイテムとかがあった気がする。言われてみれば少々買うのを躊躇う値段だった。

「値段がそんなに安いのはプレイヤーショップだからですか?」
「うん。水の中で使うアイテムとかアイテムの素材は大抵水の中で手に入るから」

 水の中の移動は姿勢を真っ直ぐにして足を軽くバタつかせると進む。停止する時は体を起こせば止まるが、それらの切り替えは緩慢にならざるを得ない。また、方向を鋭角に変えるのも難しく緩やかな曲線を描く形になる。水中で必須のアイテムや魔法は主にその辺を補助するものだ。

「そろそろ最初にあの鱗を売って手に入れたユルド分は使いましたしね……」
「そうだね。……うーん、なんだかつい最近のことなのに懐かしいような気がするよ」
「そうですね」

 海中の旅は、モンスターとエンカウントする事なく順調に進んでいる。時折シウネーさんにバフをかけて貰いつつ、買い出しの目的地である海中都市へ向かっていった。








 海中都市《センシア》

 ノーム領の近海の海底にあるが、カテゴリは中立都市である。
 海中都市と言ってもプレイヤーの数は少なく、地上の都市の半分程度が常時いる程度で、それも殆どクエスト目的の為流動的だ。ましてやここはアルヴヘイム最北端の厳寒の海。温度演出は割と得意なアミュスフィアが張り切ってプレイヤーを擬似的に凍えさせる。店が出ている中央広場をザッと見渡してもプレイヤー50人も居ない。

「それにしても随分閑散としてますね……」
「私もここは初めて来たけど、他の海中都市より少ないわね」
「ウンディーネ領の海中都市は結構賑わってるぜ。海底に初級ダンジョンとかあるしな」

 都市に入るとクエストの情報を仕入れに行く組と買い出し組に分かれた。俺はアスナさんとアルセさんと一緒に中央広場で買い物をしている。海中都市で唯一誤算だったのが、当の道具屋を営むプレイヤーがここには少なかった事だ。ベテラン揃いのこのパーティーでこの都市を訪れたことのあるのはセインさんのみで、セインさんをして予想外だったと言うのだから仕
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