3話
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あまり(・・・)ない。
黒ウサギと離れるのが、本来の目的だった。
ウースが道の横にある森林に体を向ける。
「スピーク・ウィズ・プランツ」
彼が唱えた呪文により、植物との会話ができるようになった。
彼等は単語の様な文章で話すため理解しにくい。ウースはそれを幾つも質問することで補う。
20分ほどで呪文は解ける。だが、彼は十分な情報を収集した。
彼らによれば、この世界のコミュニティには名と旗が必要不可欠。なければノーネーム。その他大勢として扱われる。つまり、信用もなければ実績も存在しなくなるのだ。
(彼女は、我々のコミュニティと言っていた。名前や旗は見た限りないはず)
つまり黒ウサギたちがウースに隠していることとは……。
そこまで考えたウースの耳に、何者かが大急ぎで近づいてくるのを感知する。
音が聞こえるほうへ体を向ける。
ウースの前方から、黒ウサギが猛スピードで向かって来ていた。
おそらく狩猟のギフトゲームを持ってきたのだろう。
(さて、どうしようか)
内心で思っていることを全く出さずに、ウースは黒ウサギを笑顔で出迎えるのだった。
森林のとある場所に、異様な光景が広がっていた。
木も草も、森に棲む獣たちも全てが石化している。
その中心に、二体ほどの牛が居た。勿論ただの牛ではない。
鋼鉄の装甲を身の纏い、銀色の角を生やした牡牛。それらは緑色の吐息を吐きながら、石となっている草を食べていた。
その光景を数十メートル程遠くから黒ウサギとウースは観察していた。
「あれですね。あの魔獣の狩猟のギフトゲームを貰っています」
黒ウサギの説明を聞きながら、ウースは青鈍色の魔獣を観察していた。
すぐに質問を発する。
「あの魔獣の名前は?」
「いえ、黒ウサギも知りません。何でも、突然現れたとか」
黒ウサギはウースに顔を向けた。
「ウース様は御存知なのですか?」
「まぁな」
(ゴルゴンが何故ここに? 呼ばれたか? もしくは)
思考を首を振ることで遮断する。
どちらにしろ狩ることは変わりない。
杖を構えて、幾つかの強化呪文を行った後、静かに近づいていく。
森の中を静かに目標に向かって歩く。まるで、自然の中に溶け込むようだった。
あまりの静かな移動に、黒ウサギも
(しっかり把握していないと見失いそうです)
驚きを隠せずにいた。
だが、本当の驚きはそれから始まる。
風を起こし魔獣達に雷を落とし、木でできたゴーレムを召喚した。火炎球をぶつけ、力場の剣で切りつける。近づいて来れば、バックから取り出したショートソードで首を落とす。
物語に出てくる強力な魔法使い。そのままの姿だった。
ただ一人
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