第八話
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少女は異様に速い。やはりやり手の【ファミリア】だったようである。
自分も足には自信があるほうだが、このままでは追いつかれるのも時間の問題だ。
少女相手に少々心苦しいが・・・・・・
「御免よ!」
懐からマットブラックの円筒、オマケにサングラスを取り出し、口でピンを抜いて後ろへ投げる。
数秒の後激しい閃光と音が後ろから発生した。
どうやら上手い具合に効いたらしく、追跡の足音はそこで途切れる。
マサはそのまま走り続けた。
────
走り続けて十数分。
先ほどの酒場と拠点はそれほど離れては居ない。
だが、念には念を入れかなり回り道をして帰ってきた次第である。
幾つもの路地を走り抜ける間も、背中のイシュタムは眠ったまま。
大したものだ。ここまでくるとあきれを通り越してむしろ凄く感じる。
イシュタムをベットに下ろし、自分も毛布に包まり床に転がる。
すぐさま睡魔に襲われ、意識は闇の中へと落ちていった。
──────
────
──
椅子に座る自分と暗闇。見慣れた光景だ。
ただ、これまでと違うのは目の前に一人の女性が立っていることだろうか。
美しい銀髪、整った顔。
えらく扇情的なドレスに包まれた豊満な体。
まるで完璧な彫像のようなそれは、慈母のような笑顔をこちらへ向けている。
「・・・・・・あなた、中々面白いわね」
「物としては三級品だけど・・・・・・」
初対面で人を物扱いとは失礼な奴だ。
その女性はだんだんこちらに近づいてくる。
それにしても美しい。あまりの美しさに気が遠くなりそうだ。
「でも、ちょっと興味が湧いてきたわ・・・・・・」
顔に女性の手が近づく。
勘が薄っすらと危険信号を出している気がするが、そんなことはどうでも良い。
手がマサに触れようとしたその時──
「そこまでだ。フレイヤ」
「我らがアクションスターにちょっかいを掛けるのは止めてもらおうか」
いつもの声。
それと同時に我に返り冷や汗が噴出す。
あのままでは取り返しが付かないことになっていた気がする。
「あら、だめかしら?」
「駄目だね。君は独り占めしちゃうじゃないか」
「マサは皆のヒーローだ。独占することは許されないよ」
「そう・・・・・・それは残念」
「またね、マサ。また会いましょう」
女性の姿が霞む様に消える。
いつもはウザイだけの声だが今日は役に立ったようだ。
「君も対外失礼だなぁ、マサ。僕をウザイ呼ばわりとは」
「これが・・・・・・反抗期って奴かい!?僕はいつも君のためを思って行動してるのに!」
「お母さん悲しいわ!」
喧しい。誰がお母さんじゃ。
兎角さっさと用件を済ませて欲しい。
「
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