ターン41 鉄砲水と流離の浮雲
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を向けて歩きだす。呼び止められたらどうしようかと思ったけど、幸いにも誰も止めには来なかった。多分ジムが何か察してくれたから、そのおかげもあるだろう。
さて、ここからは僕も一人で動かさせてもらおう。葵ちゃん、今日は店行けないから怒るだろうなあ。
「……それで、また俺のところに来たのか」
現在僕がいるのは、オブライエンの部屋。机の上に積まれたいくつかの大皿からは、オブライエンがさっきまで昨日大量に吸われたカロリーを食事から補給しようとしていたことがわかる。今朝はいつの間にかいなくなってたけど、さすがに影響なしとはいかなかったわけか。
「何度言われようと、お前に教えるようなことは何もない」
「別に、突っ込んだ話が聞けるだなんて期待してないよ。ただ1つ、前提条件として確認したいことがあるだけで」
「……何?」
ここで追い出すんじゃなくて聞き返してきたあたり、どうやら話を聞いてくれる気はあるらしい。少しは気を許してくれたのかね。
「デスデュエルって、元々はオブライエンのいたウエスト校でプロフェッサー・コブラが始めたことなんだってね」
「ああ、そうだ」
「それって、やっぱりおかしくない?だったらなんで経験者のオブライエンが1回でぶっ倒れたりするのさ。それとも何、ウエスト校ってのは生徒が毎日デュエルするたびに保健室と外を行ったり来たりするような場所なわけ?」
やや嫌味を混ぜつつ言い切り、オブライエンの目をできるだけまっすぐに見つめる。たっぷり30秒は沈黙が続いたが、やがて言葉を選びつつオブライエンが口を開いた。
「俺の口から言えることは、1つだけだ。確かに昨日のデスデュエルは、この俺も経験したことがないようなものだった」
「ふんふん」
「悪いがこれ以上は何も喋らん、用がないなら出て行ってくれ」
ここで一度作戦タイム。僕はこの手の駆け引きは僕はあまり好きじゃないので、心理戦の専門家にテレパシーを飛ばして意見を仰ぐ。
「(どうしようチャクチャルさん、もうひと押しすべきかな)」
『いや。これ以上押しても頑なになるだけで何も出てこないだろうから、ここは一度退けばいい。それに、今追いかければまだ間に合う』
「え?……まあいいや、じゃあね」
部屋を出る前に一度振り返ったが、オブライエンは既にこっちを見ていなかった。しかしよくわからない、オブライエンの話ぶりからするとやっぱり昨夜は何かがおかしかったことになる。今このデュエルアカデミアで、何が起きようとしているんだろうか。ユーノがいれば相談ができたんだろうけど、あいにく斎王戦の直前に会って以降彼の姿は一度も見ていない。まさか勝手に成仏したなんてことはないと思いたいけど、ともあれユーノの助けはないものとして考えたほうがいいだろう。
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