ターン41 鉄砲水と流離の浮雲
[1/15]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
次の日。朝になると既にオブライエンの姿はなく、寝かしておいた枕元には完璧な日本語で礼を言う手紙が置いてあった。すごいなあ、外人なのに読み書き喋りの全部ぺらっぺらなんて。僕なんて日本語で手いっぱいで英語すらまともにできないのに……っと、今は僕の学力は関係ない。ないったらない。
そして他の2人、ヨハンと十代も一晩寝たらだいぶマシな気分になったらしく、酒飲んだ次の朝の親父みたいに疲れ切った顔で次の日にはどうにか復活していた。
……朝食は1人で6人前ぐらい馬鹿食いされたけど、それで元気になったならまあ安いものだ。そう思わないとやっていけない。僕?ダークシグナーって、生前と比べてエネルギーの最大値が跳ね上がるのよ。だからちょっとやそっと吸われても……まあ多少面食らったのは間違いないけど、でもまだまだ平気だ。
「でもチャクチャルさん、これではっきりしたね。これ絶対ロクなもんじゃないわ」
『そうだな。いくらデュエリストでも、あのレベルを多用すれば命に関わる』
「ご飯食べて元気になれるなら問題ないけど、そのたびにあんなに食べるんじゃうちの食費が跳ね上がる」
『えっ』
「なに?」
『……あ、いや、そっちなのか。まあ私にとってはなんでもいいが』
妙に歯切れの悪いチャクチャルさんを一瞥し、今日の授業を受けに行った。
そして放課後。明らかにおかしい、というかどうも周りと話が合わないことがわかる。昨日のうちに生徒の大半はデスデュエルを一度終わらせたらしいのだが、どうも僕の知ってるデスデュエルと話が合わない。皆確かにエネルギーを吸われる感じこそしたものの、精々ちょっとふらつく程度で十代のように気絶してぶっ倒れたなんてことはないらしいのだ。まさか十代とオブライエンが普通よりはるかに虚弱体質だったなんて馬鹿な話があり得るはずがないし、この話を鵜呑みにするなら昨日のあの時間だけデスベルトの吸収率が格段に上がっていたことになる。
「誰が何のために、かね。僕にはさっぱり分かんないよ」
『どうだろうな。ただ我々地縛神は、本来ならばあの地上絵から解き放たれるためには大量の……あー、人間のエネルギーを必要とする。いつぞやの三幻魔の時も、復活の際に世界中のカードからエネルギーが吸い取られていた。似たようなことが起きていなければいいが』
「うーん。下手に考えるより、片っ端から動いてみたほうがいいのかもね」
なんとはなしの不安を感じながらも、それをどうすることもできずにただ突っ立っていることしかできない。なんて、センチな気分は僕好みじゃないけれど。もっと楽しいことを考えよう、そう、例えばあそこで剣山の尻に噛みつこうとしているワニの観察のような。
………えっ?
「うわああああっ!?なんだドン、何するんだドン!?」
「け、剣山ー!?」
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ