第二十一話 授業中その一
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授業中
まだまだ暑いけれど授業はあります。それで静かに教科書を開いているとふと先生が脱線してきました。そしてこう仰るのでした。
「いや、君達はいいよ」
「いい!?」
皆こう言われてふと顔をあげました。何かと思ったからです。
「授業真面目でね。授業中何か食べたりしないからね」
「授業中に!?」
皆この言葉には顔を顰めさせました。
「何ですか、それって」
「そんなのないですよ」
皆呆れた顔でそれを否定しました。当然です。
「早弁とか。この学校って給食だし」
「ねえ」
「それが昔はあったんだよ」
けれど先生はこう仰います。
「昔はね。授業中にバナナとかお菓子食べたり」
「バナナに」
「お菓子って」
そういえば女優の深田恭子さんは学生時代学校ではお菓子ばかり食べられていたそうですが。デビュー当時の写真を見てびっくりしたことがあります。それが今では。
「君達そんなことは全然ないからね。いいことだよ」
「先輩達ってどんなのだったのかしら」
「さあ」
「そんなに酷かったのかしら」
「あとガムがね」
ガムがお話に出ました。
「あちこちにガム捨てるから、うちの学校」
「それは確かに」
「私達も」
これについては私達も思い切り思い当たるふしがあります。何しろ私達もガムは随分食べますから。天理高校ではガムはかなり人気があります。
「体育館に落ちていたりね」
「落ちてるわよね」
「そういえば」
これははっきり見たことがあります、私も。
「とにかく君達かなりマナーいいよ」
「っていうか授業中にバナナ!?」
「間食!?」
とんでもないことなんですけれど。
「先輩達ってどれだけ」
「行儀が悪いのかしら」
「まあ寮で窮屈してるからね」
ここでも寮の話が出ます。絶対に離れられないものです。
「それもあるのわかるけれどね」
「北寮もそんなに厳しいのかしら」
「先輩怖いぜ」
男の子の方から言葉が来ました。
「どんだけしばかれるか」
「凄いの何のって」
「その点東寮って楽じゃね?」
まさか。私がこう思っていると。
「甘いわね、それって」
「売店の菓子パンよりも甘いわよ」
東寮の娘達からの反撃です。つまり私達です。
「東寮の先輩は神様よ」
「三年の人達なんかそれこそ」
「そっちも一緒かよ」
「何だかな」
「多分一緒じゃないわ」
何か授業よりもこっちの話が凄くなってきました。どうもこういう流れが多いような。
「女社会舐めると怖いわよ」
「物凄いんだから」
「そうよねえ」
「女社会はねえ」
先生もそれに頷くのでした。
「天理教は婦人会が凄い力持ってるからね。先生だってね」
「先生も何かあるんです
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