第二百四十一話 二度目の戦その八
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「あの者達は最初から闇におり闇から出ようとせぬ」
「そうした者達ですな」
「闇がどれだけ居心地がよいかは知らぬ」
「しかしそこから出ようとはせぬ」
「その程度の者達ですか」
「色の素晴らしさを知ろうともせぬ奴等じゃ」
所詮はという言葉だった、そこには明らかな見切りがあった。
「そうした者達に負ける筈がないわ」
「では」
「屋島で決められずともな」
「その次で、ですな」
「決める、あの者達に武はない」
信長はこうも言った。
「あるのは妖だけじゃ」
「武がないとは」
「そうじゃ、あの者達は所詮じゃ」
妖だけだというのだ、魔界衆にあるのは。
「以前はあったがな」
「松永めですな」
今度は佐久間が言って来た。
「あ奴が」
「そうであったのじゃ、魔界衆を統べるのは十二家でじゃ」
「その十二家の中で」
「松永家が戦の場で戦う家であったのじゃ」
「あ奴の家だけだったのですな」
「忍の家は四つ」
その家々はというと。
「百地家とその下の石川、楯岡、音羽のな」
「その四つの家だったのですな」
「うむ、四つでな」
「そして後の家はですな」
「妖術だの陰陽道だのを使う家だったのじゃ」
「それも左道の」
「そうした者達じゃ、しかもその忍術もじゃ」
忍術は忍術でもというのだ、信長は既に彼等のことがわかっていた。そのうえで佐久間に話すのだった。
「左道のものじゃ」
「忍術は忍術でも」
「あ奴等の術は全て闇の術、そしてじゃ」
「忍術もまた」
「全て左道、松永の戦の仕方もそうであったが」
だが、だ。今はというのだ。
「次第に光を知っていってじゃ」
「天下の戦を知っていましたか」
「そうなっていたのじゃ」
「そうでしたか」
「しかしじゃ」
それでもというのだ。
「その松永めは死んだ」
「では」
「あの者達はl気付いておらぬがあの者達は戦が出来ぬ」
信長はここで看破した、自身の敵のことを。
「あの者達はな」
「では」
「あの者達は負ける」
戦を知らないが故にというのだ。
「そのことを証明する戦でもある」
「では上様」
滝川もだ、己の馬を信長のすぐ後ろにやって言って来た。
「戦をするのですな」
「そういうことじゃ」
「あの者達が知らぬ戦を」
「考えてもみよ、確かにあの者達は傀儡を出すな」
「はい」
その通りだとだ、滝川も答える。
「それは」
「しかし采配はどうであった」
戦のそれはというのだ。
「一体」
「はい、兵の数は尽きませぬでしたが」
魔界衆との戦はだ、傀儡を繰り出すが故に。
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