GLORIA
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やるぜ、覚醒した俺の力」
彼の周りに光の輪が現れ、スティングを照らしていく。彼のその魔力の高さは、4日目にシリルと戦った時のそれを遥かに上回っていた。
「へへっ」
大いなる光に包まれた彼は、自分が負けることなど一切考えていないようで、表情にも自身が溢れていた。
そしてゆっくりと目を開けて敵を見据えた時、彼は思わず息を飲んだ。
傷だらけで、立っているのがやっとのような妖精たちが、動じることなく彼を見据えていたからだ。
思わずハッとしたスティングは、自身を包み込んでいた光を閉まってしまう。
(全員・・・もうボロボロじゃねぇかよ・・・)
ここに来るまでに激しい死闘を繰り広げてきた彼らは、魔力も体力も、そして肉体も限界を迎えていた。それなのに、一切の傷を負っていない自分が、逆に圧力で押されてしまっている。
(押せば倒れるくれぇにボロボロで・・・ここまで来たんだろ?)
彼の手が少し触れれば、瞬く間に地面に伏してしまうような、それほどの状態。なのに、彼らはそれを感じさせないほどに堂々としている。
(バカやろう!!何怯んでんだ!!)
目の前の敵の威圧感に負けそうになっていたスティング。そんな彼は右手を強く握り締め、プルプルとそれを震わせる。
(こいつらをまとめて倒せば、お嬢との約束を果たしたことになる。レクターに会えるんだ・・・そう、レクターに!!)
目を閉じれば浮かんでくる大切な相棒の顔。その相棒に対する想いが彼を、なんとか突き動かそうとする。
(進め・・・俺は強くなった・・・レクターへの想いが、俺を強く・・・)
顔を上げるスティング。その瞳に飛び込んできたのは、1列に並んで彼のことをずっと見ている妖精の尻尾の6人。
(強く・・・強く・・・勝てる・・・)
ゆっくりと、少しずつ目の前の敵に近づこうと足を擦らせながら前進していくスティング。
ガクンッ
しかし、そんな彼の足が止まり、スティングは地面に膝をつき、項垂れるように顔をうつ向かせた。
「勝て・・・ない・・・」
スティングが何を言っているのか、事態を把握しきれていない観客たちは黙ってことの成り行きを見守り続ける。
「降参だ」
スティングの口からその言葉が発せられたと同時に、妖精の尻尾の得点に1ポイントが加算される。
ワアアアアア
それと共に歓声に包まれるドムス・フラウ。その中の一角では、多種多様な反応をしているギルドがあった。
7年間、辛い想いをしてギルドを守り続けてきたメンバーは溢れ出る涙を堪えられずいる。そして天狼島から帰還したメンバーたちは、ブランクをものともせずに大会を戦い抜いた仲間たちの戦いを振り返り、皆で笑顔を溢していた
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