3部分:第三章
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」
「それでじゃ」
ナコンはそのまま本題に入る。しかし男には気付かせはしない。
「一つ聞きたいことがある」
「何でしょうか」
男はそれを言われてもまだ気付いてはいない。彼はナコンの真意が何処にあるのかわかってはいなかった。それがナコンにとってねらい目であった。
「この骨を知らんか」
ナコンはランチャラーンに目配せすると彼はあの骨を出してきた。男はそれを見た時に目を丸くさせた。細い目が驚く程まるくなった。
「どうじゃ?」
ナコンはさらに問う。男を警戒して周囲には兵士が集まってきている。皆既に剣や槍を持っている。
「何も言えぬか?ならば御主の家等も調べさせてもらうぞ」
「・・・・・・・・・」
こうして取調べがはじまった。男の家を調べると多量の人骨が見つかった。そのことから男が人を日常的に食べていたことがわかりまた男の証言から彼が盗賊を襲って喉笛を食い千切ったこともわかった。犯人がわかり事件は一件落着となったのであった。
「まずはこれで終わりか」
ナコンは豹達を元の巣に戻してやりにランチャラーンと一緒に森に戻る途中で彼にそう述べてきた。左右にいる豹達は彼等に大人しく従っている。
「そうですね。一件落着です。ただ」
「ただ?どうしたのじゃ」
「あの金細工ですが」
ランチャラーンは彼が役人に返したあの金細工について話をした。事件の解決の発端となったあの金細工である。
「あれはどうしてあの男の手から離れたのでしょうか」
「ああ、それか」
ナコンはそれに応える。
「実はあれは簡単なことじゃった」
「簡単なことといいますと」
「うむ。奴は落としたのじゃ」
彼は述べた。
「落としたのですか」
「間抜けな話でな。盗賊を食い殺して金細工をせしめたのはいいが」
「はい」
ナコンの話を聞く。今最後の謎が解決されようとしていた。
「それを落としてしまったのじゃ。探しても見つからず諦めてしまったらしい」
「それだけですか」
「うむ、それだけじゃ」
ナコンはぶっきらぼうとも取れる様子でそう答える。実際に取るに足らないようなことだと考えているらしい。
「そしてこの豹が拾ったらしいな」
次に豹を見やる。
「そうだったのですか」
「うむ、何ということはなかろう」
「ですね」
ランチャラーンはそれを聞いて頷く。
「何はともあれ一件落着ですか」
「今度は御主と豹達に感謝せねばな」
ナコンはそうランチャラーンと豹達を見て述べた。
「おかげで恐ろしい人食いを捕まえることができた。しかしじゃ」
彼は最後に思うところがあった。それを口にする。
「今まで色々な悪党を見てきたが実際に人が人を食うとはな」
「それですか」
「恐ろしいことじゃ」
あらためてそれを思う。
「まさかとは思うた
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